4月下旬から今月上旬にかけて太田、桐生両市の養豚場で県内6、7例目のCSF(豚熱)の感染が相次いで確認された。昨年11月の5例目の発生を受け、県が飼養衛生管理や抗体検査などの強化に乗り出した直後だった。群馬県は豚の飼育頭数が全国4位と多く、感染リスクは高い。ワクチンによる確実な免疫付与が難しい中、県は来月にも、養豚現場に詳しい民間獣医師を発生農場を中心に派遣し、群馬県の主要産業を守るための対策を徹底する。

 今月9日朝、桐生市内の建設会社で働く男性の携帯電話に社長から連絡が入った。「桐生で豚熱発生の疑いがある」。昨年8月と11月に続いて3度目となる豚の埋却作業。災害に備えて日ごろから24時間態勢とはいえ、豚を埋める作業には慣れず、気が重かった。

 殺処分された豚が入った約300袋をトラックで運び、パワーショベルで穴に入れる。「豚のことは考えないようにしているが、やはりつらい」。埋めた後は地面からガスが噴き出し、ふん尿の臭いはしばらく消えないという。

■「消毒徹底しか」

 農林水産省と県でつくる疫学調査チームの現地調査によると、太田と桐生の両農場とも周囲を柵で囲っていたが、ネズミなどの小動物が確認された。CSFに感染した野生イノシシについては、太田は農場から約4キロ地点で2~3月に計4頭、桐生は農場から約12キロ地点で4月に1頭確認されていた。

 豚舎に立ち入る際、いずれも農場専用の長靴や作業着に着替えていたが、太田の農場は分娩(ぶんべん)豚舎を除いて踏込消毒や手指消毒をしていなかった。県家畜防疫対策室は「農場を守るためにも飼養衛生管理基準に沿って消毒を徹底してもらうしかない」とする。

 初めてCSFが確認された太田の農場は市街地から離れておらず、桐生のように養豚農家が集中する地域ではなかった。県養豚協会の斉田和則会長(58)は「農場周辺にいるカラスや小動物がウイルスを運んだ可能性が高い」と分析。ただ、近くに住宅があることから「人や車が運んだ可能性も否定できない」と話す。

■疲弊を隠せず

 国内で26年ぶりのCSFが岐阜県で確認されて3年8カ月。養豚農家も防疫作業員も疲弊を隠せない。

 群馬県でCSFの発生を防げないのはなぜか。日本獣医生命科学大の羽山伸一教授(獣医学)の答えは...