くす玉割りやテープカットなどでダムの完成を祝ったセレモニー
クレストゲートから豪快に放流を見せる八ツ場ダム=28日午後5時40分ごろ
軽快なダンスを披露する長野原ジュニアダンスクラブ

 八ツ場ダム(群馬県長野原町)の完成を記念する、国土交通省関東地方整備局主催の式典「感謝のつどい」が28日、同町の八ツ場ダム管理支所内駐車場の特設会場で開かれた。ダムは2020年3月に完成。竣工(しゅんこう)後の式典は新型コロナウイルス下で約2年間見送られ、地元住民ら関係者に感謝を伝える催しとして企画された。

 式典で斉藤鉄夫国土交通相は、ダム建設のために土地を提供した町民ら関係者の協力に感謝した。19年の台風19号でダムが利根川の水位低下に役立ったことに触れ、「今後もダムが流域の安全確保や生活基盤の安定に貢献し、観光資源として地域の活性化に寄与することを願う」と期待した。山本一太知事は「何世代にもわたり苦労した地元の理解があってこその事業で、生活支援に引き続き取り組む」と強調した。

 長野原町の萩原睦男町長は「完成までの68年という長い時の中で生まれたつながりを大切にしたい」とあいさつ。高山欣也前町長は「今後は住民とともに、にぎわいの八ツ場あがつま湖となるよう努めたい」と述べた。

 地元代表者のほか、長野原、東吾妻両町や県、下流都県の関係者、国会議員ら約300人が出席。セレモニーでは、斉藤国交相や山本知事らがダムの点検放流のボタンを押したほか、くす玉割りやテープカットで完成を祝った。

 終了後、ダム周辺では長野原町主催の町民限定イベント「八ツ場ダムフェスタ」が開かれた。

特別な放流に歓声 音楽やダンス ステージ多彩

 八ツ場ダム(長野原町)の完成記念式典に合わせ、町主催の町民限定イベント「八ツ場ダムフェスタ」が28日、ダム直下のスペースで開かれた。町民400人がダム最上部にある非常用の放流設備「クレストゲート」からの点検放流や、ステージの演目を楽しんだ。

 クレストゲートは大雨でダムが満水になって緊急放流をする際に使い、点検以外で開けることはめったにない。国土交通省の協力で、八ツ場ダムでは初めて放流を一般向けに公開した。

 カウントダウンに合わせて4門のゲートが開くと、大量の水が大きな音と共に堤体を白く染めながら約100メートル流れ落ちた。町民は歓声を上げ、最上部からの放流の迫力をスマートフォンやカメラを向けて映像に収めていた。

 ステージでは、群馬オペラ協会が自然と人間との共生をテーマにした本県発の歌劇「みづち」の楽曲などを披露。地元の上州應桑(おうくわ)関所太鼓や長野原ジュニアダンスクラブが出演したほか、町が2019年に作成したダムのPR動画で、「故郷(ふるさと)」を歌ったシンガー・ソングライターの奇妙礼太郎さんが弾き語りをした。

 家族3人で訪れた鈴木希資さん(30)=同町大津=は「ダムの下に来たのは初めて。大勢で集まる機会がなかったので、こういうイベントは楽しい」と笑顔。金子和代さん(60)=同町川原湯=は「多くの人の苦労の末に完成したダムを見ることができた。記念イベントができたこともうれしいし、安心した」と話した。

 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、規模を縮小して開いた。