「あがつま忍びは真田十勇士」を披露する玉秀斎さん

 講談師の四代目玉田玉秀斎(ぎょくしゅうさい)さん(45)=大阪府=が29日、東吾妻町中央公民館で、吾妻地域に伝わる真田忍者の働きを描いた講談「あがつま忍びは真田十勇士」を住民ら約80人に初披露した。戦国武将、真田信繁(幸村)配下の猿飛佐助、霧隠才蔵らが活躍する「真田十勇士」は、明治終盤に三代目玉秀斎(1919年死去)を中心とする一派が執筆した講談本が原型とされ、「玉田玉秀斎」による真田十勇士の講談としては約100年ぶりの新演目となる。

 新演目は佐助のモデルとされ同町に屋敷跡が残る横谷左近や、中之条町に墓がある唐沢玄蕃(げんば)ら真田忍者を中心に展開。岩櫃城や嵩山城を巡る攻防など、吾妻地域の住民になじみ深い内容となっている。

 執筆に当たり、玉秀斎さんは昨年4月から史跡を訪ね、吾妻地域に住む真田忍者の末裔(まつえい)に話を聞くなど取材を重ねてきた。そこに「史料や伝承を話すだけでは講談という娯楽は成立しない。講談は観客に好奇心を持ってもらうことが役目」と自身が想像した物語を加え、娯楽作品に仕上げた。

 初披露後、玉秀斎さんは「気持ち良かった。良い作品に育っていくと思う。五代目に引き継がれるような新しい古典にしたい」と、手応えを感じていた。公演を鑑賞した横谷左近の子孫、重則さん(62)=長野県上田市=は「先祖のことを思うと感慨深い。講談を通じて史実に興味を持ってもらうのは有意義」と語った。

 現在も小説や映画の題材などとして愛される「真田十勇士」の起源は、三代目玉秀斎が駆け落ち相手らと刊行した「立川文庫」に収録されている。200万部発行との説があり、川端康成や湯川秀樹も愛読したという。しかし、講談人気の低迷により三代目の没後、「玉田玉秀斎」の名跡は玉秀斎さんが2016年に四代目を襲名するまで97年にわたって途絶えていた。