「多くの人に『ととのう』体験をしてもらいたい」と話す若林さん
まきストーブの揺らめく炎でリラックスしながら体表温度を上げる
1人用の水風呂。水温は10度前後に調整している

 フィンランド語で蒸し風呂を意味する高温の部屋「サウナ」。近年はマンガやドラマの題材になり、愛好者は「サウナー」と呼ばれるなど盛り上がりを見せている。スタイリッシュなものもあり、若い利用者も増えているという。前橋市荒牧町の専門店「毎日サウナ」支配人、若林優貴さん(28)に満喫の極意を教わった。

皮膚を若く

 店内に入る扉を開けると、木の香りがふわりと鼻孔をくすぐる。同店はまきストーブでサウナ部屋の室温を上げる「まきサウナ」が特徴。まだ店舗数の多くないまきサウナを求めて県外から訪れる人も多いという。

 同店で提供するのが「温冷交代浴」で、①サウナで汗を流す②水風呂で体を冷却する③体を休め心拍数などを正常にする―の3工程が1セット。体に劇的な変化が加わることから、その日の体調を十分考慮することが大切だ。

 サウナ部屋では存分に汗をかき「全身から老廃物を排出」。体表の毛穴という毛穴から汗を出すことで、皮膚の若さも保てるという。

 同店は開店約2時間前にストーブ内のまきに火を入れ、90~100度まで、じっくり時間をかけて室温を上げており「体への熱の伝わり方が柔らかい」というまきサウナ。利用者にも「息を殺して時間が過ぎるのを耐える」といった雰囲気はない。

 サウナ部屋でより体を温める入浴法として人気なのが、熱した石に水をかけて水蒸気を作る「ロウリュ」。フィンランド生まれの方法で、湿度が上がりしっとりと温められる。同店は「シトラスローズ」などアロマ水を使うため、香りに包まれるような感覚を味わえる。

タオルで熱風

 「これが楽しみで来ている」という客もいるのが「アウフグース」。ロウリュで潤った室内で、タオルを振り回して起こした熱風を浴びて一気に発汗させる。若林さんはパフォーマンスとして音楽に合わせてタオルを回す「ねっぱやし」の名でも活躍。闘牛士かピザ職人かと思うほどのタオルさばきで、パフォーマンス後には大きな拍手が起こる。

 サウナ部屋にいる時間は体調に合わせて平均7~12分間ほどで、体がしっかりと温まったら水風呂へ。10秒から数十秒くらいが一般的だが、2分ほど入る人も。肩まで漬かって動かずに10秒ほど経過すると全身に薄い膜が張られる感覚が得られる。「羽衣」とも呼ばれ、心地よさを感じるという。

 水風呂の後に10~15分ほど休憩し、体の温度や心拍数を正常化させる。冷えを防ぐため水分を拭き取ることが大切。ベッドチェアに体を預け目を閉じると、鼓動が大きく聞こえ「ふわーっとした感覚」が全身を包む。この状態が「ととのう」だ。この時、体内では抗ストレス作用が期待できるオキシトシンなどが分泌されているという。

 若林さんは「理想のサウナを作りたい」と一念発起し起業。熱い思いは利用者にも伝わっているようで「睡眠の質が上がったり、ご飯がおいしく感じられたり。いろいろを流した分、生活の豊かさが得られたと話すお客さんもいます」と笑顔を見せる。

 サウナ観光 サウナを観光戦略に取り込む自治体もある。鳥取県は昨年11月、同県の豊かな自然と、サウナで心身が「ととのう」イメージとの親和性が高いとして、サイト「ととのうとっとり」を開設。サウナスポットを織り交ぜた観光コースや、川べりでテントサウナを楽しむイベントなどを紹介している。

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