▼雪が残る尾瀬ケ原の木道近くでイモリがゆっくりと動いた。ちらりと見せる赤い腹部にどきりとする。1週間ほど前、鳩待峠から山ノ鼻まで登山道を下り、湿原中央部の竜宮まで散策した

 ▼今季4度目となる尾瀬で初めて雨に降られた。至仏山や燧ケ岳(ひうちがたけ)は見えなかったが、鳥のさえずりを聞き、雪解け水で湖のようになった湿原を歩くうち、雨の日こそ草花や動物が生き生きとした自然な姿を見せるのではないかと思った

 ▼牛首分岐先のミズバショウ群生地は、竜宮周辺を散策した2時間半ほどの間に、花びらのような白い仏炎苞(ぶつえんほう)がすっかり水に漬かり、刻々と変わる尾瀬の姿を目の当たりにした

 ▼群生地周辺にはニホンジカの食害を防ぐ柵があった。地球温暖化でシカが増え、リュウキンカやニッコウキスゲも食い荒らされているという

 ▼導入2年目となる県の補助事業「尾瀬ネイチャーラーニング」には本年度、小中学校50校と1団体が申請した。旧事業「尾瀬学校」と同様にガイドから事前に動植物や湿原の特徴を学び、6月中旬から実際に尾瀬ケ原を歩いて魅力を体験する

 ▼新事業では探究活動が加わり、体験を学校のホームページなどを通じて外部に発信する。昨年度はコロナ禍で申請したものの中止した学校が少なくないという。今年は多くの子どもが湿原を訪れ、かれんな草花や野鳥、虫たちに心を躍らせ、尾瀬への理解を深めてほしい。