世界中の風景を見られるグーグルのサービス「ストリートビュー」。撮影車が巡回し、画像は順次更新されるが、前橋市内のある交差点は、さまざまな撮影時期の風景がつなぎ合わさるバーチャル世界の「境界」になっている。古い画像から新しい画像へおよそ10年分を行き来すると、交差点の角で営業していた群馬県発祥のコンビニの移ろいをたどることができる。

 「境界」があるのは前橋市上佐鳥町の県道11号(前橋玉村線)の交差点。車が行き交う交差点の角地、前橋佐鳥郵便局の向かいで、コンビニのセーブオンが営業していた。

 ストリートビュー上では、交差点を南側から見た場合に最も古い画像が現われる。表示によると、撮影されたのは2012年6月。営業しているセーブオンの看板は、赤色が基調の懐かしいデザインだ。

 ここから交差点を北に進むと、3年後の15年9月の画像に切り替わる。セーブオンは営業中だが、看板は白地に赤とオレンジの細い線が走る新しいデザインに変わっている。

 

 さらに交差点の西側に移ると大きな変化が。セーブオンの看板がなくなり、黒く塗りつぶされて空き店舗になっているようだ。撮影時期は21年11月。コンビニブランドとしてのセーブオンはこの3年前に幕を下ろし、ローソンのフランチャイズに転換している。

 そして交差点の東側に行くと、今年2月の画像に遷移する。駐車場には赤色ののぼりがはためき、建物は「半額専門店」のトーアマートになっていた。

 ストリートビューには、撮影時期が異なる境界は多数あるものの、交差点の東西南北で4種類に切り替わる場所は珍しいとみられる。さらに任意の場所で撮影時期を切り替えられる機能を使うと、ローソンとして営業していた19年8月の画像も見られる。画像はないものの、建物は選挙事務所としても一時、使われていたという。

35年の歴史に幕を下ろしたセーブオン=2018年8月、前橋南インター店

 

 

 

 移ろう風景を保存し、「タイムマシン」とも呼ばれるストリートビュー。群馬県民に愛されたセーブオンが姿を消すまでを、はからずもとどめている。

現在の交差点。角にはトーアマートが営業している=2022年5月31日撮影

>>ネット限定記事をもっと読む