新型コロナウイルス感染症の影響で低迷する飲食店の新たなビジネスモデルをつくろうと、人材派遣の群馬総合スタッフ(群馬県前橋市小相木町、古田徹社長)が飲食事業を本格化している。店舗とキッチンカー、配食を組み合わせた運営形態で経営ノウハウを確立させた後、飲食店経営者向けのコンサルティング業務の展開も視野に入れる。
慢性的な人手不足が続く飲食業界は、コロナ収束後に人材難が深刻化すると予測。将来的には自社で育成した飲食店店長ら専門スタッフの派遣も計画している。
同社の派遣スタッフは約千人いるが、コロナ拡大期には製造業やイベントスタッフを中心に約200人の派遣先がなくなった。経済活動の再開とともに派遣需要は回復したものの、若年者に切り替える動きが加速。飲食業への参入には、自社の新規事業で雇用を創出する狙いもあった。
昨年9月には、同市千代田町の飲食店街「呑竜横丁」にジンギスカン店「カムイ」を開業。12月には同市国領町にファミリーレストラン「王様珈琲(コーヒー)」を出店した。両店を拠点にした企業などへの配食事業は順調に推移している。
キッチンカーも3台導入し、スポーツの試合や地域イベントなどで出店。「飲食事業はトータルで想定していた以上の売り上げ」(同社)という。
「王様珈琲」は10日、同市大友町のホテル1―2―3前橋マーキュリー内に2号店を開業する。同店の経営を通して飲食に対する顧客のニーズやメニューのトレンドなどを把握。飲食店経営者に対するコンサルティングに向け、ノウハウを蓄積して準備を進める。外食需要が復活した際には、飲食分野にたけた社員の派遣を目指す。
同社の石巻幸之介常務は「工夫次第で飲食業にはチャンスがあることを示したい」と話している。