無幻の書の拓本を見学する来館者

 渋川北群馬地域ゆかりの書の大家で、修験宗の高僧でもあった角田無幻(むげん)(1743~1809年)を紹介する企画展「修験者 無幻道人」(渋川市教委主催)が7月31日まで、同市赤城歴史資料館で開かれている。無幻の書を刻んだ庚申(こうしん)塔や道祖神などを調べてきた「無幻道人金石文(きんせきぶん)研究会」(二戸(にと)正一代表)が展示に協力し、石碑など約30点を写真や拓本で紹介している。無幻については、市教委にもまとまった資料がなく、無幻の実績や人柄に触れる貴重な機会になりそうだ。

 無幻は現在の吉岡町下野田にある修験宗の寺の次男として生まれた。16歳で渋川市赤城町津久田にあった寺の跡継ぎとして養子になった。江戸の書家に付いて腕を磨き、後年、書の手本に使う「千字文(せんじもん)」の自筆を天皇に奉呈。修験道の興隆を図るため総本山、聖護院門跡(京都)の高僧の招きに応じて上洛(じょうらく)し、多くの門弟を指導した。

 養父に会うため、京都から年に1度は必ず帰省したとされる。揮毫(きごう)した石碑から拓本を取って石碑が建立された例もあり、無幻の書は人気があった。

 展示に協力した同会は二戸代表(75)=吉岡町=と飯出征幸さん(82)=甘楽町、須藤征吾さん(80)=渋川市、須田昭司さん(70)=前橋市=の4人が2年前に発足。それぞれ無幻の調査を10年以上続けてきた郷土史研究家で、インターネットなどを通じて知り合った。

 把握した石碑や扁額(へんがく)は県内に約130点。そのうち、渋川市内を中心に約30点を取り上げた。無幻が揮毫した石塔に絡む伝説や、赤城大鳥居との関わりなども解説した。

 生い立ちや庚申信仰などについてパネルで展示し、実際に使った筆や錫杖(しゃくじょう)などの遺品も並ぶ。会でまとめた石碑などのリストも配布している。

 企画展開催に尽力した須田さんは「迫力のある拓本が多く、ぜひ見てほしい。地元に無幻道人の石碑があったら、情報を寄せてもらいたい」と話す。

 午前9時~午後5時。入館料は大人200円など。月、火曜休館。問い合わせや情報提供は須藤さん(☎090-3049-2439)へ。