コロナ下で密を避けられるとしてアウトドア人気が高まる中、釣り客の期待に応えようと、群馬県水産試験場が新たな系統のアユを開発した。漁場に深刻な影響を及ぼす「冷水病」に耐性があって飼育しやすく、遡上(そじょう)性の高さも兼ね備えているのが特長だ。県内河川への放流が今年から始まっており、漁業協同組合の関係者も熱い視線を送る。同試験場は「県外漁場との差別化に寄与し、県内に人を呼び込むきっかけになれば」としている。

 冷水病対策として、同試験場は2011年に耐性を持ったアユの「江戸川系」を開発して以降、場内で毎年ふ化させる継代飼育を続け、春先から7月ごろにかけて河川に放流してきた。だが年月を重ねる中で、遡上性や遺伝的多様性の低下が懸念されるようになってきたという。

 そして昨年、江戸川系の進化版となるアユの開発に着手。江戸川系の雌と、江戸川が流れる葛飾大橋上流付近(千葉県松戸市)で捕った天然遡上の雄を交配し、新系統「江戸川系V2」を作り出した。

 県蚕糸園芸課は「釣り客の中には釣果だけでなく、『生きのいいアユの釣り応えを楽しみたい』という人も多い」と説明。新たなアユが定着し、話題となることに期待を込める。

 上野村内の神流川を管轄する同村漁協は1日、解禁日を決めるための試し釣りを行った。放流量2.3トンのうち1.5トンが新系統のアユだとし、松元平吉組合長は「期待通りに元気に育っていた」と話した。

 この日は、群馬、烏川、東毛の3漁協の管内(利根川、鏑川など)でアユ釣りが解禁された。今後、他の漁場でも順次解禁され、アユ釣りの本格的なシーズンが到来する。

 群馬県の魚でもあるアユの県内放流量は1995年の39.5トンをピークに減少し、2009年以降は15~18トン台で推移。直近2年間はともに16トン台だった。今年も同程度となる見込みで、そのうち新系統のアユは中間育成業者への出荷分も合わせて6.2トンが予定されている。