小さな沢の上は雪解けが周りより早く、不思議な造形が描き出された= 5月23日、鳩待峠-山ノ鼻間
雨の尾瀬ヶ原では水面が木道の高さを上回ることも= 5月23日
黄色の花が鮮やかなリュウキンカ
木道の上をのそのそと歩くアカハライモリ
 

 残雪の間に現れた“池”。無数のミズバショウが咲きハイカーたちを和ませる=5月23日、鳩待峠-山ノ鼻

 

 

 尾瀬国立公園に本格的な登山シーズンが到来した。日増しに雪解けが進む中、尾瀬ケ原では木々が芽吹き、ミズバショウやリュウキンカが競うように花を咲かせている。

 残雪に覆われた5月下旬、鳩待峠(片品村)から入山すると、山ノ鼻手前にあるテンマ沢一帯の湿地で、純白のミズバショウが出迎えてくれた。清らかな雪解け水が斜面を流れ、花びらのような白い仏炎苞(ぶつえんほう)があちこちに姿を見せていた。

 雨の尾瀬は至仏山も燧ケ岳(ひうちがたけ)も雲に覆われていた。レインウエア姿のハイカーたちが時折休憩しながら、木道を歩いていく。

木道周辺の雪をかくガイドたち

 鳩待峠から山ノ鼻一帯は5月下旬まで雪の世界。入山した23日、尾瀬ガイド協会群馬支部のメンバー約60人がハイカーのために木道周辺の除雪作業を行っていた。ガイドに一声かけ、尾瀬ケ原を目指した。

 山ノ鼻から樹林帯を抜けると、湿った枯れ草の中からショウジョウバカマがピンクの花をのぞかせていた。雨の尾瀬からの小さな贈り物だ。

牛首分岐のベンチで一休みするハイカーたち

 上田代の湿原は、雪解け水で木道の両側が湖のようになる「尾瀬ケ原湖」が出現していた。池塘(ちとう)に映し出される「逆さ燧」の姿はない。上ノ大堀川橋を渡り、牛首の分岐を竜宮方面に向かうと、下ノ大堀川のミズバショウ群生地。至仏山は望めなかったが、緩やかな水の流れに沿って白い妖精がしっとりと咲きそろっていた。

下ノ大堀川のミズバショウ群生地

 竜宮へと続く木道の間を、ミズバショウとリュウキンカが彩る。牛首分岐の周辺で遭遇したイモリが赤い腹部をちらりと見せた。繁殖期で動きが活発になっているらしい。自然の中で繰り広げられる生き物の営みを垣間見られた。

木道近くに咲くミズバショウ

【メモ】尾瀬ケ原中央部を通る木道の竜宮十字路。地名の由来となった竜宮現象が、近くの中田代湿原の二つの池塘で見られる。南側の富士見峠付近から流れ出た沢水が、一方の池で地下に潜り、木道反対側の池から湧き出す。「群馬の山1」(県山岳連盟編)によると、池は深く、竜宮に通じるという言い伝えが残るという。田代は、湿原に並ぶ池塘が、小さい田んぼの苗代が連なる様子に似ていることから名付けられたとされる。