▼麦秋の時季を迎えた。有数産地の邑楽館林地域では、冬場の空っ風や豊富な日射量を受けて育った麦が黄金色に輝いている。通勤や取材で地域を移動すると、日に日に収穫が進むのが分かる

▼邑楽館林産100%の小麦粉「百年小麦」のブランド構築が着々と進んでいる。今年は大手コンビニが原料に使ったうどんを発売した。手軽に楽しめる特産に、筆者も舌鼓を打った

▼監修したのは、百年小麦を商品化した麺のまち「うどんの里館林」振興会。学校給食に百年小麦を提供するなど、地域の食文化に親しんでもらう活動を続けている

▼名称の「百年」には、江戸時代に館林藩から将軍家へ小麦粉が献上された地域性、正田醤油や花山うどん、日清製粉といった1世紀以上続く関連企業を育んだ歴史、そして次の百年に小麦文化のバトンをつなぐ持続可能性への思いが込められている

▼本州で最大の収穫量を誇った本県産の小麦だが、近年は愛知県や三重県にその座を奪われている。高齢化で二毛作のうち麦の栽培をやめた農家の話も耳にした。先月末には収穫目前の麦が降ひょう被害を受けるなど、思わぬ苦境に陥った

▼振興会の活動も新型コロナウイルスの影響でままならない状況だったが、できることから続けていくという。地元の特産が全国的に知られて稼げるようになる良い循環が継続すれば、小麦文化の継承者は現れるはずだ。