▼東吾妻町方面から見ると浅間山を隠してしまう。そんな理由で名付けられた浅間隠山に登った。ルートは浅間隠温泉郷コース。アクセスがやや不便で距離も長いが、利用者が少なく、静かな登山を楽しめる

  ▼湯川沿いの登山道を進み、細い沢を何度か渡ると、やがて広く緩やかな尾根に出た。若葉に彩られた木々の間から光が差し込み、映画の1シーンのような光景に思わず足を止めた

 ▼25年前、このコースを登ったが、こんな光景には覚えがない。当時は山に登ること自体が楽しく、週末ごとに出かけ、駆けるように登り、とんぼ返り。美しい風景や山野草、優しい自然の音を気に留めることはなかった

 ▼たくさんの山に登りたいから、脇目も振らずに山頂を目指す。それはそれで楽しかったが、いつしか途中で立ち止まってでも、山のさまざまな表情を味わいたいと思うようになった

 ▼映像作品を早送りで見る「倍速視聴」が広がっている。にわかには信じ難い行為だが、友人との話題についていくためには、たくさんの作品を見なければならず、そのために無駄だと思えるシーンを省略して、とにかく短時間で数をこなす。こんな事情も背景の一つだという

 ▼山の楽しみ方が人それぞれであるように、映像の楽しみ方もいろいろあっていい。ただ、早送りしたくなる部分にも意味はある。立ち止まらないまでも「普通」に見続けたいと思っている。