老朽化した風呂釜と店主の津久井さん

 昨年7月に先代の孫夫婦が事業承継した群馬県桐生市錦町の老舗銭湯「上の湯」が、原油価格の高騰で岐路に立たされている。苦しい台所事情の中、店主の津久井篤さん(30)は新たな設備投資として、改修費を含め約600万円の風呂釜の導入を決断。クラウドファンディング(CF)でこのうち200万円を賄おうとしている。「先代(笹倉幸一さん、享年78歳)の銭湯を後世になんとか残したい」と奮闘している。

 上の湯は昨年7月、先代の孫娘、美紅さん(27)と結婚した津久井さんが後継となって営業を再開した。再開当初は従来の約3割増の入浴客が訪れるなど幸先の良いスタートを切った。

 しかし、今年に入って円安やロシアによるウクライナ侵攻などによる灯油の高騰に直面。再開当初は1リットル当たり95円だった灯油の仕入れ価格は110円超まで上がり、月に約25万円もの負担増となっている。

 津久井さんは「これからも価格の高騰は収まらない」と灯油を約800リットル備蓄するなどの経営努力を重ねている。ところが追い打ちを掛けるように、20年以上使ってきた風呂釜が故障。漏水する上、熱伝導の悪化でさらに光熱費がかさむようになったため、風呂釜の更新を決意した。

 現在は貯金を切り崩してやりくりしているという津久井さんは「多くのお客さまが『上の湯』を必要としている以上、この苦境をなんとか乗り越えたい」と明るい未来を見据える。

 目標金額を200万円に設定したCFによる支援は、1口千円から。CFサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で受け付けている。返礼品として、同店ののれんがデザインされたオリジナル手拭いなどを用意している。