新型コロナウイルスの重症化予防を目的としたワクチンの4回目接種=ズーム=で、基礎疾患がある18~59歳に対する接種券の発行方法を上毛新聞が県内12市に取材したところ、前橋、高崎など11市が本人からの申請を受けて発行する「自己申告制」を採用していることが分かった。全員が対象で一律送付しやすい60歳以上と異なり、対象者の把握が難しいことなどが背景にある。一律送付による誤接種や接種会場での混乱を防ぐメリットがある一方、対象者が申請の必要性に気付かず接種しない可能性もあり、周知が課題となっている。
12市への取材で、太田市を除く11市は本人に窓口やオンライン、郵送などで申請してもらう「自己申告制」と回答した。太田市は基礎疾患がある人のうち、2回目接種までに優先接種した記録がある約4800人分は自動的に接種券を送付。記録がない人について自己申告制を併用している。
自己申告制を採用した理由は「基礎疾患の有無、重症化リスクなど接種対象者を市で把握することは難しい」(安中市)などの説明が目立つ。一律に接種券を送った場合、対象外の人が接種会場に訪れて現場が混乱したり、誤って接種してしまう恐れがある点も考慮している。「該当者のデータは保有しているが、本人の判断を優先する」(前橋市)との声もあった。
一方、課題とするのは接種対象者への周知。各市の担当者には「接種が必要な人が自分が対象と気付き、ワクチンを打ってくれるか心配」「広報や市ホームページは自分から情報を取りに行かないと見られない。必要な人に届くといいが…」との不安もある。
各市はホームページや広報媒体を通じ、周知を急いでいる。安中市は3回目接種を受けた18~59歳全員に案内を送付し、4回目は基礎疾患や重症者リスクの高い人が対象であることを説明。「接種券発行申請書」を同封して積極的な申請を呼びかけている。
県によると、県内の4回目接種の対象者約66万3500人のうち、基礎疾患がある人は約4万6千人と推計される。県ワクチン接種推進課は「自己申告制は周知不足によって接種につながらない恐れがあることが課題。希望者が速やかに接種できるように、市町村と連携して取り組む」としている。