ドラマの台本を手に、撮影現場を振り返る武藤さん

 NHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」で、群馬県の元上毛新聞社取締役の武藤洋一さん(73)が新聞考証を担当している。長年の経験を生かし、主人公が一時的に働いた新聞社のエピソードなどで演出を助言。沖縄の本土復帰50年を記念したドラマを陰で支える。8月には自らの出演も控えており、「新聞社、そして新聞を身近に感じてもらえるチャンス」と期待している。

 ドラマは1972年の本土復帰前後の沖縄本島北部「やんばる地域」が舞台の中心。黒島結菜さん演じるヒロイン、暢子が沖縄料理に夢をかけて奮闘する姿や、家族、きょうだいの強い絆を描く笑いと涙の物語となっている。

 武藤さんは、世間知らずな暢子が勤務先のレストランのオーナーから命じられ、東洋新聞社で雑用バイトをした第8週(5月30日~6月3日)などに協力。記者とデスクのやり取りや立ち振る舞い、カメラの持ち方、新聞社の雰囲気などを助言した。

 締め切りが迫る中、必死に記事を書く記者の横にデスクが座り、原稿用紙を取り上げて直したり要素を追加したりする様子は「新聞社らしさが詰まったシーン」。今はパソコンで記事を書くが、「当時のリアリティーを追及したかった」と語り、武藤さんの見識とこだわりが視聴者をドラマの世界に引き込んでいる。

 考証を務めた背景には、日航機墜落事故を題材に地方紙記者の奮闘を描いた「クライマーズ・ハイ」(横山秀夫さん原作)が2005年にNHKでドラマ化された際、武藤さんが協力したことがある。当時のスタッフが「ちむどんどん」に関わっていることもあり、昨年2月ごろに考証の打診を受けた。同3月からリモートなどで打ち合わせを重ね、今年3月と4月には撮影現場にも足を運んだという。

 暢子が新聞社で働くエピソードは終了したが、宮沢氷魚さん演じる新聞記者の和彦ら新聞社の面々は引き続き登場している。武藤さんは8月に編集長役で出演予定で、既に撮影済みという。「何回か撮り直した」と苦笑しつつ、「どんなシーンになるのか楽しみ」と話している。

 武藤さんは上毛新聞社編集局長や論説委員長などを経て退職。群馬テレビのニュース番組キャスターも務めた。現在は前橋工科大と高崎健康福祉大の非常勤講師、俳人協会県支部事務局長を務めている。