新型コロナウイルス収束後を見据えた地域振興で、群馬県みなかみ町は8日、官民協働の事業プランが観光庁の「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」に採択されたと発表した。原則で半額補助の支援策を活用し、自然景観と調和の取れた外観改修などを複数の旅館・ホテルで取り組むほか、課題だった廃屋の撤去も進める。町内に点在する温泉地「みなかみ18湯」を周遊してもらう環境を整え、コロナで打撃を受けた観光地の再生を目指す。

 採択により、宿泊施設の大規模改修や廃屋の撤去に1施設当たり最大1億円、観光施設の改修に最大500万円が補助される。総事業費は28億700万円で、補助総額は13億3800万円を見込んでいる。来年2月末までに完了する見通しだ。

 対象は町内全域で、20の旅館・ホテルが露天風呂やアウトドア客を受け入れるラウンジの新設、老朽化した外観の改修などを予定している。7の飲食・観光施設が体験スペースの増設、看板商品の創出を計画している。また、閉鎖したまま廃屋となっている三つの宿泊施設を撤去する。

 同町は2017年、首都圏の生活を支える利根川の水源や希少な鳥類が生息する森林環境などが世界的に貴重と評価され、「ユネスコエコパーク」(生物圏保存地域)に認定された。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた国の取り組みで、19年には「SDGs未来都市」に選ばれている。

 観光地の再生に向けては、これらの理念に基づきながら、自然と共存することの価値と喜びを体感できるまちづくりを進める考えだ。

 昨年度は、湯原温泉地区を対象にした改修計画が同庁の「既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業」に採択されている。今回の計画では町内の周遊につなげたい考えで、みなかみ18湯を生かし、泉質の異なる各所の湯巡りなどを想定している。

 町は事業を通じて、谷川岳や温泉、アウトドアスポーツなど、点在する観光資源を有機的に結び付け、面的な活性化を目指す。コロナ収束後は、欧米諸国の富裕層をメインターゲットとした長期滞在型旅行の提供を見据える。

 町は採択の理由を「町内のバラエティーに富んだ観光資源が評価されたのでは」と推測し、「ばらばらだった観光資源が『みなかみブランド』として一つの方向に向かうのではないか」と期待する。

 「地域一体―」は全国8地域の自治体・団体の計画が採択され、本県ではみなかみ町が唯一選ばれた。