「ライオンキング」でシンバ役を演じる島村さん(c)Disney、撮影:阿部章仁

 劇団四季のミュージカル「ライオンキング」で、主人公のシンバ役を10年以上務める島村幸大さん(群馬県東吾妻町出身)が上毛新聞の取材に応じた。「無色透明でありたい」。国内随一の舞台で演じ続ける俳優は、表現者としての信条をこう言い表す。

 「作品のパワー、それに負けない演者の個性。衝撃だった」。劇団四季を志したのは高校3年の夏、「マンマ・ミーア」を鑑賞したことがきっかけだった。

 入団を目指して音大へ進み、4年時に受けたオーディションで合格した。

 ライオンキングは1998年に公演が始まり、上演が1万回を超す屈指の人気作。島村さんが初舞台を踏んだのは2008年9月、役名がない「アンサンブル」の一人だった。

 大役が目の前にやってきた瞬間は今も鮮明に覚えている。「お前、シンバ、やっとけよ」。劇団四季を創設した演出家、浅利慶太さん(18年死去)にレッスン中、ぼそりと言われた。09年6月、シンバ役を初めて演じた。

 シンバはライオン。客は人でないものを見ている気持ちにならないと、作品の世界に引き込まれないと島村さんは考える。演じる際は、俊敏さといった人が普段使わない動きを常に意識している。

 日常の暮らしで体験した一つ一つが、やがて演技に生かせる引き出しになるという。「役者として使えるヒントは、生活の至る所にある」。自身もけがを乗り越えて再び舞台に立った経験があり、「シンバの生き方に似ている」とも思う。

 幼少期から大学まで続けた日本舞踊は師範の腕前。「無色透明でありなさい」―。家元の教えを、国内を代表する劇団俳優となった今だからこそ大切にする。自由で伸び伸びとした姿勢こそ、「アラジン」の主人公をはじめ、さまざまな役どころを演じられる強みになっているように感じている。

 「白に黒を混ぜれば灰色になるけれど、透明であれば、白を混ぜても黒を混ぜてもその色に染まる。年を重ねて経験を積むほどに、無色でいるのは難しい。だから台本は何も情報を入れずに読む。無色透明で役を演じる、僕の方法です」

 高崎経済大付高芸術コース音楽系ピアノ科―国立音楽大声楽学科卒。「嵐の中の子どもたち」や、劇団の創立65周年を記念した「ソング&ダンス65」などにも出演した。

 島村さんの声や取材の詳細は10日、上毛新聞の公式ポッドキャスト「うまがまう」=QRコード=で、「#11 劇団四季俳優が来た!」として配信します。地元の思い出や推しの食べ物も紹介します。