給食のスープを作る調理室。食材の高騰を受け、仕入れや献立を工夫している=館林学校給食センター

 食品や燃料などの物価高騰が学校給食の食材にも影響を及ぼしている。パンやうどんが前年に比べて4%程度値上がりし、中には3倍になった品目もある。給食費を値上げせず、子どもの健康や食育のために質と量を維持するにはどうするべきか―。各教育委員会や学校給食センターは献立を工夫したり、補助金の活用を模索したりして奮闘している。

 「正直、最近は不安感が強い。どこまで値上がりが続くのか分からないまま、数カ月先の献立を決めるので…」。群馬館林学校給食センター(群馬県館林市)の栄養教諭、飯島結花さん(39)は打ち明ける。市内の全小中学校16校の児童、生徒、教職員らが食べる約5800食の献立をもう一人の栄養士と共に考え、調理にも携わっている。

 献立を組み立てる時は地場産や旬の食材を使うように心がける。ひな祭りや十五夜などの年中行事に合った品物を取り入れ、栄養バランスや調理器具の容量を踏まえた調理方法を考慮。同じ月に同じメニューは一度も出さない。

 それだけに食材の高騰は悩みの種だ。揚げ物用の油は3月から4月にかけて10%以上値上がりし、多くのメニューで重宝するタマネギは前年と比べ3倍に跳ね上がった。そのほかの野菜も全般的に値上がりしている。

 飯島さんは「やりくりが厳しいからといってデザートや品数を減らすことは子どものためにしたくない」と献立や調理方法を工夫する。作業時間短縮のために皮がむかれたタマネギを買っていたが、一時的に皮付きのタマネギを仕入れて価格を抑えたり、揚げ物の回数を減らして油を節約したりしてしのぐという。

 群馬県内全域の自治体にパンやご飯などを提供している県学校給食会(前橋市)によると、本年度のコッペパンとうどんは前年より4%値上がりした。5年前と比べるとコッペパンは21%、うどんは8%、白飯は5%高くなっている。以前から続く値上がり傾向に、最近の原油高や原材料の高騰などが追い打ちをかけた形だ。

 物価高騰を受け、文部科学省は給食費の値上げによる保護者の負担増を抑えるため、新型コロナウイルス対応の地方創生臨時交付金を給食費の増額分に充てることも可能とし、自治体に活用を呼びかけている。県教委健康体育課によると、6月1日時点で35市町村のうち13市町村が国の交付金について利用を前向きに検討しているという。

 12市の教育委員会に取材すると、給食費は2014年に消費税が8%になったことに伴い引き上げた価格のままの市がほとんど。ある市の担当者は「物価は常に注視している。保護者の負担を考えると給食費を上げることは簡単ではない」と漏らす。献立と価格を維持するため、試行錯誤が続いている。