「江戸時代までは寺に鳥居が立っていることもありました」と話す鈴木さん

 御朱印集めはいつ始まったの? 神社と寺は何が違うのでしょう? それぞれの特徴や作法の違いなどについて、高崎経済大准教授の鈴木耕太郎さんに教えてもらいました。

人の代わりにお参りした証拠

 数年前から、御朱印集めが一大ブームになっています。御朱印は元々、神社や寺にお参りしたことを証明するためにできました。
 室町時代のころに「六十六部廻国聖(ろくじゅうろくぶかいこくひじり)」と呼ばれる修行僧たちが活発に活動していました。この僧たちは、修行としてさまざまな霊場を訪れ、お経を納めることでお参りした証しをもらっていました。

 

 当時、一般の人たちの中には自分で寺や神社に行けない人もいました。六十六部廻国聖は、こうした人たちの代わりにお参りすることもありました。
 その際、しっかりとお参りして来たことを証明するため、寺や神社の名前などを書いたものを渡していました。それが江戸時代中期には、納経帳(のうきょうちょう)という冊子に寺や神社の名前を書いてもらい、上から印を押す形へ変わりました。これが現在の御朱印の始まりとされています。

祈る姿勢が大切
 みなさんは神社やお寺にお参りするとき、どうやって願い事をしますか? 共通点もありますが、神社と寺はお参りするときの一般的な作法が違います。
 手や口を水で清め、おさい銭を入れて鈴を鳴らすまでは、神社と寺どちらも同じです。寺ではその後、合掌して1回礼をします。
 一方、神社では二礼二拍手一礼といって、2回礼をして2回手を叩き、最後に1回礼をするのが一般的です。神社によっては二拍手ではなく四拍手する場合もあります。
 ただ、これらの作法は寺と神社がはっきりと分かれた明治時代以降に決められたルールです。作法をあまり気にしないところもあれば、逆にとても厳しいところもあります。
 作法は大切ですが、最も大切なのは神様や仏様に対する「心」です。どんな姿勢でどんなことを祈るかが重要です。

 


 

歴史を伝える御城印 ゆかりの武将印も

たくさんの御城印をデザインする吉沢さん。風っ子読者に「地元の歴史を図書館で調べてみてほしい」と呼びかけます

 みなさんは御城印を知っていますか。御朱印のように城や城跡を訪れた記念品として購入できるものです。北群馬甲冑工房(吉岡町)代表の吉沢洋紀さんは、県内外で30城ほどの御城印の制作に携わっています。

 御城印は半紙や和紙に城の名前や関連する文言が書かれ、城主の家紋やゆかりのある武将らのイラストなどが入っています。吉沢さんは、文字の大きさと配置を1㍉単位でこだわってデザイン。文字やイラストは職人に依頼し、「手に取ってみたくなるもの」を制作しているそうです。
 吉沢さんは、子どもの頃に祖父母の家で時代劇を見たことがきっかけで歴史に興味を持ちました。2014年に甲冑作りを始め、工房を設立。しかし、新型コロナウイルスの影響で甲冑作りの体験教室が開けなくなり、別の企画を考える中で20年から御城印の制作を始めました。
 御城印作りで心がけていることは、城にまつわるストーリーを想像できるようにすること。御城印の制作が決まると、対象の城についてみっちり調べてからデザインを考えるそうです。「わくわくするような歴史が埋もれているのは、もったいない。御城印を通して地域の歴史を伝えることができたらうれしい」と話しています。

吉沢さんがデザインした前橋城の御城印
御城印のほかに、武士が登場する「武将印」も制作。写真は「上州源平印」として売り出したものです