肉を切る塚本さん。包丁さばきはお手のもの

 ブラジル人の大泉町移住から30年余り。世代交代が進むコミュニティーで、日本社会での成功を目指して生きる人がいる。

 塚本・ジュニオール・エジソンさん(30)。6歳の時に家族と来日した。早くビジネスの世界で成功することを望み、中学を卒業すると、父親が町内や栃木県佐野市で手がけたスーパーマーケット兼飲食店「カサ・ブランカ」を手伝うようになった。

 10代の頃は毎朝、解凍した肉を切り、包装する下積みの経験を重ねた。25歳で初めて店を任せられた。

 2年前からは、精肉や冷凍食品などを販売する「E&Jホールディングス」の経営に参画している。自ら営業し、北関東を中心に外国料理店に売り込んでいる。取引先の数は約60。「うまくいかないこともあるが、自分を信じてきたのが良かった」。2年後に物流センターを開くことを次の目標に据える。

 言葉の壁に悩みつつも若者たちは大志を抱き、懸命に働いている。

 「イラッシャイマセ」。片言の日本語であいさつするのは、ジアス・コエケ・レオナルドさん(19)。ブラジル料理のシュラスコ専門店「パウリスタ」=同町坂田=の店長だ。日本で生まれ、幼児期から18歳までブラジル人学校で育った。

 一度は父親に日本語の習得のため地元中学への進学を勧められたものの、なじめるか不安で実現しなかった。父親の紹介で就職し、店長になった。

 そんな彼は今、日本の大学に進学して心理学を学び、悩みがある人を助けたいという目標を持っている。ブラジル人だけでなく、日本人や近年増えているアジア系住民の良い相談相手になりたいという。

 2年後の春の入学を目指して、日本語の勉強と大学受験の準備を同時並行で進めている。「仕事と勉強を両立して頑張りたい」。かつて日本語を学ばなかったことに対する後ろめたさは、もうない。