被害に遭った架線。工具などで切断されたとみられる
3号トンネル付近の線路。架線が切り取られ、線路上に垂れ下がっている(点線内、画像の一部を加工)

 群馬県安中市の碓氷峠にある旧JR信越線横川―軽井沢間廃線跡で、架線が切り取られ、盗まれる被害が相次いでいることが10日分かった。少なくとも2カ所で計530メートル(約16万円相当)が被害に遭っており、線路やトンネルを所有する同市は安中署に被害届を提出し、警戒を強めている。

 市によると、信越線の廃線跡は国の重要文化財「碓氷第三橋梁(きょうりょう)」(通称・めがね橋)があるれんが製の旧線とコンクリート製の新線があり、被害は新線の上り線1、2号トンネル付近と、下り線3号トンネル付近の2カ所で確認された。

 5月下旬から6月3日にかけて市観光機構の職員が発見した。架線は工具などを使って切断されたとみられ、残りの部分が線路上に垂れ下がっていた。現場に通じる作業道のフェンスの南京錠もなくなっていたという。

 同区間は1997年の北陸新幹線開業に伴い廃止となり、イベント時などを除き原則立ち入り禁止。鉄道遺産を観光誘客に生かそうと、市や同機構、ボランティアが維持管理しており、同区間を巡る観光イベント「廃線ウオーク」は年間千人が参加する人気イベントになっている。

 一方で2007年と13年に電線計約9トンが盗まれ、19年にレールの切り取りや国の重要文化財「碓氷第17隧道(ずいどう)」内の落書きが見つかるなど被害が相次いでいる。市観光経済課は「防犯カメラの増設など対策強化を図りたい」としている。

 廃線ウオークのガイドを務める同機構の上原将太さんは「廃線を大切にしたいと参加する観光客も多いのに、その真逆の行動。破壊されて悲しい」と話していた。