外国人客に向けた感染予防ガイドラインのチラシを準備するスタッフ=10日、中之条町四万の柏屋旅館

 訪日外国人観光客(インバウンド)の入国手続きが約2年ぶりに再開した10日、県内の観光地や自治体からは多言語チラシなど「進めてきた準備が生かせる」といった歓迎や期待の声が上がった。一方で新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、感染対策への温度差が指摘される海外からの受け入れに慎重な声も聞かれた。

 「受け入れ態勢はばっちり」。嬬恋村の「ホテル軽井沢1130」は意気込む。コロナ禍以前は訪日客が利用客の2割を占め、2020年に観光庁認可の「国際観光ホテル」に登録されただけに期待は大きい。

 英語が堪能なスタッフを配置するなど受け入れ再開に向けて準備してきたといい、伊藤順哉副総支配人は「国内外問わず自由に旅行が楽しめる時が来てほしい」と力を込めた。

 草津温泉観光協会は「外国人旅行客が動くことで、国内でも旅行を楽しむ雰囲気が醸成されるのでは」と相乗効果を期待。草津町内のホテルは「7月以降の外国人客の予約に関する問い合わせが少しずつ入っている」と明かした。

 渋川伊香保温泉観光協会は「観光庁の支援事業を活用し、旅館や温泉街の再整備を計画中。こうした取り組みを通じて外国人客を増やしていきたい」と熱い視線を送り、四万温泉協会(中之条町)もインバウンドの集客強化方針を掲げた。

 訪日客を迎えるための準備も進む。富岡市観光協会は富岡製糸場周辺の案内板44カ所に英語、中国語、フランス語対応のQRコードを入れ、準備を整えた。新井良一専務(62)は「インバウンド対応のPR動画視聴数が伸びている。情報発信を積み重ねて、集客につなげたい」と意気込む。

 安中市観光機構も市などと連携し、駅などに置いている中国語と英語の観光情報カードによる発信をさらに強化する計画だ。

 県は20、21年度に外国人向け観光サイトを一新し、感染対策の徹底を呼びかける多言語チラシを作成するなどしてきた。県観光魅力創出課は「以前の水準に回復するには時間がかかるかもしれないが、23年度に30万人泊を目指す」としている。

 一方、海外との往来活発化に伴うコロナ変異株の流入を懸念する声もある。政府の感染対策指針はツアー販売時にマスク着用を求めるなどとしているが、県内のある温泉旅館は「どこまで徹底されるか不透明。国内客や社員に感染する懸念が拭えない。現段階では(再開は)時期尚早ではないか」と指摘した。

(まとめ 奥木秀幸、写真 石田貞之)