▼みなかみ町のならまた湖や奥利根湖で先月下旬、湖上をカヌーで巡るツアーが始まった。ツアー会社は数種類を設定。1日かけて湖の奥深くまでこぎ進むツアーもある

 ▼カヌーでしか行けない場所に行ったり、湖面に映る山を眺めたり。時には野生動物の姿も見られる。ランチタイムも楽しみの一つ。大自然の中でくつろげるだけでなく、温かい食事によって疲れが吹き飛び、やる気が湧く

 ▼食事を取ることで、空腹が満たされるだけでなく、気力が充実した経験は誰にもあるだろう。それが命を脅かす危険から逃れてきた場合であれば、重みは格段に増すはずだ

 ▼自然災害が頻発する中、避難所の食を見直す動きが広がりつつある。おにぎりやパン、カップ麺などばかりに頼るのではなく、栄養や食べやすさを考慮した、温かな食事への変更を目指す自治体が増えているという

 ▼本県でも避難所生活の質向上の一環で、県と市町村、関係団体が協力して食事の改善に取り組む。飲食店との提携によるキッチンカー派遣や市町村の給食センターの利用、栄養士にバランスの良いメニューを考えてもらうことなどを想定する

 ▼避難所に駆け込むことがないのが一番だが、そんな事態でも体調を崩すことなく避難生活を乗り切り、その後の復興への意欲につなげてほしい。それを支える食事を提供できる態勢が、一日でも早く整うことを願っている。