世界文化遺産の富岡製糸場が今秋、開業150周年を迎えることを受け、製糸場を管理運営する富岡市は記念式典やコンサート、写真展といった製糸場の魅力を多角的に伝えるイベントを企画している。また、世界遺産がある国内自治体の首長が一堂に会し、資源の保全や観光活用について意見を交わす「世界遺産サミット」が群馬県で初めて開かれる。市は注目が高まる節目の年に効果的な情報発信を行い、知名度向上と観光誘客につなげる考え。

 製糸場は官営(国営)工場として、明治5(1872)年10月4日に開業。2014年に世界文化遺産となった「富岡製糸場と絹産業遺産群」の主要資産。

 今年は「顕著で普遍的な価値を有する遺跡や自然地域などを人類全体のための世界の遺産として保護・保存」することを目的とする世界遺産条約が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の総会で採択されてから50年の節目でもある。

 計画では、10月1、2の両日に記念式典やピアノコンサートなどを開催。大学教授ら有識者で組織する研究委員らによるシンポジウム「富岡製糸場の女性労働環境について」を開き、製糸場の歩みを振り返る。国内の世界文化遺産を写真で紹介する展示も予定する。

 世界遺産サミットは、国内50以上の自治体が加盟する世界文化遺産地域連携会議などが14年から毎年、会場を変えて開いている。今年は製糸場内の国宝「西置繭所」多目的ホールをメイン会場に10月29、30の両日に開く予定だ。

 市は、各地の行政関係者らにサミット出席を呼びかける考えで、1日当たり100人以上の参加を想定。基調講演や会議などを通して地域間連携を深めるとともに、魅力発信や世界遺産の維持、継承に向けた方針について話し合い、アイデアを共有する。7月中には分科会で取り上げる具体的なテーマや、講演者などが決まる見通し。

 いずれの企画も、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえながら開催の可否を判断する。市は「新型コロナの感染拡大に伴って激減した(製糸場の)見学者数が戻りつつある。周年イベントで知名度を高め、来場の呼び水にしたい」としている。