「子どもの喜ぶ顔がやりがい」と話す「び~ば~」代表の岩下さん

 自然豊かな八王子山丘陵と渡良瀬川の間に位置する群馬県太田市吉沢町。子ども食堂「び~ば~」で今月5日、子どもたちがはしゃいでいた。

 毎月第1日曜に安価で食事を提供する同食堂は今月、1周年を迎えた。この日は縁日風にフランクフルトや焼きそばなどを並べ、ベーゴマ遊びや工作体験も用意。親子ら51人が集まり、楽しいひとときを過ごした。

 代表の岩下幸江さん(60)にとって、子どもの支援活動は長年の夢。およそ1年半前、「コロナ下の厳しい経済状況で食事に困っている子がいるかもしれない」と、子ども食堂の開設を思い立った。未経験だった食事の提供に慣れるため、まずは定食屋を開業。昨年6月、仲間5人と運営団体を設立して活動を始めた。

 当初は感染予防のため、弁当の提供のみ。思い描いたような和気あいあいとした食事はできなかったが、少しでも楽しんでもらうため、企業の協賛で用意したカプセル玩具「ガチャガチャ」を使って菓子を配るなど工夫を凝らした。

 徐々に活動が知られると、県内外から食材や活動費の支援が集まるようになった。医療従事者のメンバーが濃厚接触者になり急きょ休んだ際は支援者が手伝いを買って出てくれた。楽器演奏や昔遊びのボランティアに参加してくれる人もいる。

 食堂名には食事だけでなく、子どもの「遊び場」「学び場」になるようにとの願いを込めている。園児から小学5年の子ども3人を連れた仁藤奈津子さん(32)=同市泉町=は「『お帰り』と言ってもらえるような温かい場所。子どもも毎回楽しみにしている」とにこやかに話す。

 誰でも受け入れる食堂だが、運営するうちに、岩下さんは課題も感じるようになった。地元に子どもはほとんどおらず、多くの利用者は車で訪れる。「貧困に苦しむ人は来ることすらできないはず。本当に必要な人に支援が届いていないのではないか」ともどかしい。

 そんな中、より困っている子どもを支援しようと、先月中旬から、無料学習支援団体に塩むすびの提供を始めた。子どもは大喜びで頬張り、ジャムパンを届けた日には小学生の女児が「明日の朝ご飯にする」と話した。1食に苦労している様子に衝撃を受けた。

 現在、個人や企業などからの定期的な支援は約20件。「協力のおかげで一歩ずつ進んでこられた。子どもの笑顔のために、細く長く活動を続けたい」。夢の食堂に全力を注ぐつもりだ。