東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=135円台と、約24年ぶりの円安水準となった13日、群馬県内の観光関係者や小売企業は、訪日外国人観光客(インバウンド)による購買意欲の上昇を期待した。一方、輸入企業は原材料価格のさらなる高騰を警戒。為替差益で恩恵を受ける輸出企業も急激な為替変動を嫌い、専門家も慎重な見方を示した。

 コロナ禍で入国制限されていたインバウンドは10日、約2年ぶりに再開されたばかり。外国人客にとって円安が進行する日本への旅行や買い物には割安感が生まれる。草津温泉観光協会の福田俊介事務局長は「日本を訪れたいという前向きな気持ちになるのではないか」と期待する。

 かつて中国人観光客による“爆買い”が話題となった家電量販店最大手のヤマダホールディングス(高崎市)は「外国人旅行者が増えることに対する将来的な期待はある」とする。ただ、現状では「円安に伴う物価高で国内の消費マインドが冷え込むことの方が心配」と打ち明ける。

 自動車電装部品を輸出するミツバ(桐生市)は対ドルで1円円安が進むと、営業利益が2億円ほど増える。2023年3月期の想定為替レートは120円。大幅に円安が進む中、「為替だけを見れば利益が増える」(同社)状況だが、思いは複雑だ。輸入原材料の高騰や急激な価格変動は、マイナス面が多いためだ。同社は「為替は企業努力ではコントロールできない。為替に合わせて経営するしかない」と今後を注視する。

 輸入企業は仕入れ価格の上昇に苦しむ。精密板金・レーザー加工の山崎製作所(高崎市)によると、原材料価格は昨年度と比べ約4割上昇。これまで受注してきた仕事も、同じ条件では赤字となることが増え、山崎将臣社長は「発注元と条件が折り合わず、仕事を断るケースも出てきている」と話す。

 世界20カ国以上からコーヒー豆を輸入するコーヒー製造販売の大和屋(高崎市)は昨年末、ブラジルの霜害などを受けて値上げに踏み切った。さらなる値上げはちゅうちょせざるを得ず、担当者は「現状では円安による仕入れ値の上昇分を、自社で吸収するしかない」と嘆く。

 日本貿易振興機構・群馬貿易情報センター(ジェトロ群馬)の宮崎了一所長は「海外で生産したり海外から部品を調達したりする企業が増えているため、(円安の功罪は)全体のコストを含めて見極める必要がある」と指摘する。