群馬県の前橋、高崎両市にまたがる奈良時代造営の国史跡「上野国分寺跡」の保存活用で、県が主要施設の復元を視野に入れたハード面の整備検討を休止していることが分かった。デジタル環境を生かした仮想現実(VR)事業などソフト面の整備が価値の発信に効果的だと判断。ハード面の検討はソフト事業に一定のめどが付き次第進める。

 同史跡について、県は2019年3月に保存活用計画を策定。整備の基本方針として、建物復元や平面表示、VRやAR(拡張現実)の活用など、最良の整備を総合的に検討するとしていた。

 計画策定以降、デジタル技術が発展し、VRや動画の利活用がより一般的になったことを受け、ソフト事業の充実に注力することにした。ハード面を含む整備基本計画は23年度までの策定を見込んでいたが、24年度以降になる見通し。
 
 現地でスマートフォンをかざすと創建当時の建物が画面上に浮かぶVRアプリは現在、更新作業を進めており、夏ごろに最新版を発信する。同史跡の魅力を解説する動画も動画投稿サイト「ユーチューブ」の県公式チャンネル「ツルノス」に投稿する。

 上野国分寺は古代東国文化の中心地で、1926年、国史跡に指定された。金堂や南大門など主要な建物群跡がほぼ完全な形で残る全国でも珍しい国分寺跡として知られる。県文化財保護課は「費用対効果も含め今後も慎重に検討し、価値を伝えていく」としている。