ブラジルの「ウクライナメモリアルパーク」で交流する林大使(左)ら

 林禎二・駐ブラジル日本国大使(56)は、日伯両国は基本的な価値を共有できる大切なパートナーだと説く。

 ―コロナ禍は。

 ビジネスでの行き来は徐々に再開されてきている。観光面でも少しずつ元に戻ることを期待している。

 コロナの負の面は大きかったが、オンラインで交流や会議ができるようになった。ブラジルは地球の裏側で距離が長く、費用や時間の負担は大きかった。時差はあれ、オンラインを活用すればそれが抑えられる。対面も再開させつつオンラインの交流も続けたい。

 ―ブラジルの経済的な可能性は。

 広大な領土があり、人口は日本の約2倍。非常に重要な経済上のパートナーだ。日本はブラジルから大豆やトウモロコシ、鉄鉱石、身近なものでは鳥肉も多く輸入している。

 一方で、ブラジルには世界第3位の航空機メーカーもある。日本からの輸出という面でも大きな可能性を秘めている。日系人の若い方にぜひ、そうしたビジネスにさらに関わってほしい。

 ―ウクライナ侵攻はブラジル社会にどう影響したか。

 ブラジルは新興5カ国(BRICS)の中で唯一、ロシアの侵攻を非難する国連の安保理決議に賛成した。BRICSで仲間外れになる恐れがある中で、相当な決断だったと思う。日本にとって平和や国際法の尊重、人権といった基本的な価値を共有できる国だ。

 ブラジル南部では、ウクライナ系の住民が50万人近く暮らす。3月に私が「ウクライナメモリアルパーク」を訪ね、日本がウクライナを支援していることを伝えると、管理人が涙して感謝してくれた。ウクライナに対する連帯感は少なくない。ただ経済制裁についてブラジルは、国連決議があればやるという立場。これは今回に限らず、一般的な方針になっている。

 ―群馬の在日ブラジル人や県民へのメッセージを。

 群馬の在日ブラジル人は、大変なご苦労も抱えつつ、日本経済を支えている。子どもの教育の問題などもあるだろうが、大泉町や太田市など、地元の自治体が進めている多文化共生の取り組みは素晴らしく、他の自治体の見本になっている。このつながりを、群馬の観光振興やビジネスの発展につなげられるよう、私自身が努力したい。

 実は何人か群馬に友だちもいる。前回行った際は子どもと上毛電鉄に乗ったり、ひもかわうどんを食べたりした。ここに来る前は前橋の友だちから、だるまを餞別(せんべつ)にもらった。次に帰国する際は、ぜひまた訪れたい。