▼黒い画面の中央で輝く円や画面いっぱいに広がる光をとらえた写真。渋川市のAisギャラリーで開かれている展覧会「with Peace」の出品作の一部だ
▼平和への強い思いを感じさせる作品の作者は、ウクライナの現代美術作家セルフィ・ポポフさん。ロシアによる侵攻後、破壊された戦車の主砲を活用して撮影した
▼ポポフさんら5人の作品を集めた展覧会は、同市の現代美術作家・福田篤夫さんと、長男で東京芸大大学院生の周平さんが開催。支援金を募っているほか、東京と佐賀での巡回展を予定している
▼篤夫さんは3年前、キーウでの美術展に招待され、現地の現代美術作家と親交を深めた。今年3月、その作家らが苦境に立たされていることを知り、創作再開を支援しようと展覧会を企画した
▼会場には無残に破壊された街の様子を伝える写真を展示するほか、映像も流している。「ウクライナで何が起きているのか。アーティストとして、どう受け止めればいいのか。仲間と議論している」と周平さん。戦時下で生まれた作品の重さをかみしめている
▼ギャラリーを訪れた多くの人が支援金を寄付してくれたほか、取り上げられる機会の少ない同国の現代美術を紹介でき、手応えは感じている。展覧会をきっかけに同国の作家との交流を深め、互いに高め合うことも思い描く。そんな日が一日も早く訪れることを願っている。