デザインというとアートやファッションを思い浮かべる方が多いでしょうか。私は全ての物事にデザインする力が必要だと考えています。

 英語の「デザイン」は図案や柄、設計はもちろん、計画などの意味で幅広く使われる名詞であり、動詞です。作品において趣向や工夫を凝らすことを指す場合が多いですが、それは目的に応じてより良いものにするための工夫であると考えます。例えば美しさだったり、使いやすさだったり、親しみやすさだったり、好奇心を抱かせるものだったり。そして視覚から訴えるものと、視覚では分からない部分があります。

 視覚から訴える、つまり目に見えるデザイン自体とても大切で、見る人の想像力をかき立てたり、幸せな気持ちにさせたりします。

 目に見えないデザインも同様です。分かりやすいものでいうと、機械製品でしょうか。使いやすいように機能をデザインします。

 目に見えるデザインと目に見えないデザインの双方は、観光分野においてもとても大切なものだと実感しています。

 旅行前に触れるデザインは、現地のイメージを膨らませ、実際に行動に移させます。実際に来訪した際は、心地よく過ごせる空間を提供し、購買意欲をかき立てます。デザインが素晴らしければ写真に撮ったり、買った物を身近に置いたりすることで記憶に残り、再訪のきっかけにもなります。土産として誰かに渡すかもしれません。そうして人から人へつながっていくのだと思います。もちろん、そこにいる人も大切です。

 現在所属している観光協会や団体でいうと単体のイベントもそうであり、未来を見据えた計画を行政や事業者と一緒にデザインしていくことも必要なのだと考えます。

 あるいは「編集者」という考え方もあると思います。地域の魅力や、魅力のもととなるヒントは元からあるので、それをデザインの力を借りながら、編集していくことでさらに光り輝くものにしていくのです。

 編集していくにはその土地のことを知らなくてはいけません。もちろん外部の方のアイデアや意見は積極的に取り入れて作り上げていくのですが、地域を知る人がいない状況で、一度もその地を訪れたことのない人だけで作り上げることは難しいでしょう。

 赤城山は自然が美しく、記憶に残る場所です。その自然を保ち、さらにデザイン・編集していくことが大切だと感じるものの、それは大変難しく、頭を悩ませることも多いです。それらの能力においてまだまだ未熟な私ですが、観光の立場からも自然を守りながらこの地域を素晴らしい場所として持続可能にしていくやり方をデザイン・編集していくことに挑戦していきたいと考えています。

 【略歴】県をPRするぐんまコンシェルジュを経て、観光地域づくり法人赤城自然塾で事務局次長を務める。2022年4月から現職。NPO法人まえばし農学舎理事。

2022/6/17掲載