▼アジサイの季節を迎えた。渋川市の名所、小野池あじさい公園では20種8千株が植えられ、来園者を毎年、楽しませている。アジサイは同市の花。特別な意味を持つ

 ▼制定は1976年。当時の本紙によるとアヤメ、ヤマユリなど6種が候補に挙げられ、市民の投票でアジサイに決まった。記事をたどると83~85年、当時の市長の「日本一のアジサイ園建設」という構想を受け、市は同公園を整備したという

 ▼アジサイは地域活性化の役割を担ってその後も各所に植えられ、2000年代には市内のNPO法人が関越道渋川伊香保インターチェンジ付近の国道17号中央分離帯に白い花が咲く「アナベル」を植栽。市の顔として定着させた

 ▼06年に6市町村が合併して現在の渋川市が誕生、アジサイが市の花に引き継がれた。多くの花が寄り添う様子が新市のイメージにふさわしいとされた

 ▼市は東京五輪・パラリンピックの共生社会ホストタウン登録(19年)を機に性別や年齢、障害の有無、政治的立場などの違いを認め合う「共生社会」実現を政策の軸に据え、アジサイをシンボルとした。大きさや色合いの異なる個々の花を、市民の多様な個性になぞらえた

 ▼国内外ではさまざまな確執や偏狭な差別、ハラスメントなど「違い」を尊重しないことによる問題が後を絶たない。アジサイのような社会の実現には、一層の意識改革と工夫が求められる。