事務所開きで拳を突き上げる中曽根氏(右から2人目)

 「政治が安定することでコロナやウクライナの問題はもちろん、憲法改正や皇室維持といった課題にも取り組める」。5月下旬、自民党現職の中曽根弘文氏(76)は群馬県前橋市内の事務所開きで、自民・公明両党による安定政権の必要性を説いた。

 あいさつに立った公明の福重隆浩衆院議員は長年築いてきた盤石な信頼関係を強調し、自身が初当選した昨秋の衆院選での協力に感謝した。陣営は各地で開いている集会に公明の県議や市議を招き、比例代表に公明から出馬する予定者の名を挙げる場面を用意する。

 背景には、共に衆院議員で中曽根氏の長男、康隆氏と尾身朝子氏が衆院選小選挙区で公認を求めた“1区問題”が尾を引いているとの見方もある。自民関係者は「比例に回った尾身さんを当選させるため、結果的に公明への票は減った。なんとか福重さんも当選したが、お互いに気を使っている」と打ち明ける。

 尾身氏は福重氏と同様、選対顧問に就任。12日の中曽根氏の後援会の集会で、「私も粉骨砕身、最後まで頑張ります」とあいさつした。出席者の一人は「尾身さんの後援会も全面協力してくれたらありがたい」と期待した。

 6回連続で当選し、全県に強固な支援組織を巡らす中曽根氏だが、過去の選挙とは勝手が異なる。コロナ下で、後援会役員総会が半年遅れの3月下旬にずれ込んだ。「準備の時間が足りない」(陣営幹部)として、国会閉会前日の14日にも集会を設定した。

 緩みも大きな懸念材料だ。6年前は野党統一候補にダブルスコアで圧勝。今回は計6人が立候補を表明しており、自民関係者は共闘態勢を構築できない野党の動きを尻目に「こちらも緊張感が薄れてしまう。各地の後援会の動きが鈍い」とぼやく。後援会役員は「議長になってもらうためにも大きな得票が必要」と各地の集会で発破をかける。中曽根氏は「(議長は)国会が決めることで、私は与えられた仕事をやっていくだけ」と淡々としているが、当選8回の山東昭子議長に次ぐ実績を持つ「重鎮」に寄せる周囲の期待は大きい。

 同市内で開かれた12日の集会で、後援会女性部の小川せつ子会長は「6年間で女性部の人数は減ったが、各地の後援会を結集して連合を組んだ。準備は万端」と強調。父の康弘元首相の代から支援する70代男性は「弘文さんは話をよく聞いてくれて身近で、康隆は若者の人気が高い。総力戦で必ず勝つ」と誓った。