群馬の森に設置されている追悼碑=16日

 群馬県立公園群馬の森(高崎市)にある朝鮮人労働者追悼碑を巡る訴訟で、最高裁の上告棄却決定が明らかになった16日、県は妥当だと受け止め、撤去に向けた手続きに着手する考えを示した。原告の市民団体側は憤りを隠さず、抗議集会を計画している。碑が現に存在するため、決定に即して設置者が円満な形で碑の撤去に応じるかが今後の焦点となる。

 原告側の角田義一弁護団長は、20日に都内で訴訟の激励集会を開く予定であいさつ文も作っていた。「決定は承知している。抗議集会に切り替え、その後の会見で所信を述べる」と憤った様子だった。

 2017年に追悼碑を模した作品を園内の県立近代美術館に展示しようとして断念した美術作家、白川昌生さん(74)=前橋市=は上告棄却を「そうなると思っていた。一つの問題提起にはなった」と冷静に受け止めた。今後も「表現の不自由展」に出品するという。

 山本一太知事は16日の定例会見で最高裁の決定について自ら切り出し、「県の主張が全面的に認められた。極めて妥当な決定だと受け止めている。速やかに手続きを進め、設置者に自主的な撤去を求めたい」と述べた。県都市計画課は「現実に碑があるため明日すぐ撤去とはいかないが、相手方と交渉したい」とした。応じなかった場合は強制的な手続きもあり得るという。

 14年に碑の設置許可を取り消すよう求める請願を県議会に提出した金沢春彦さん(66)=同市=は口頭弁論を傍聴し、結論を気にかけてきた。「主張が認められてうれしい。長年の思いが実った」と喜んだ。

 16日午後、追悼碑は園内に静かにたたずんでいた。近くの70代男性は「碑の前で人を見かけることはめったにない。設置の経緯もよく分からず、争いの種になるのが不思議な感じがする」と話した。

 犬の散歩で毎日のように訪れる高崎市の60代女性は「風景の一部。何の碑かも裁判のことも知らなかった」という。玉村町の70代女性は「朝鮮の人々と日本人が仲良くできれば越したことはない」と願った。