▼1997年刊行の『まんが高崎の歴史』を高崎市中央図書館で見つけた。漫画家、石ノ森章太郎さんが監修し、2040年に暮らす小学6年生5人が時間旅行するSF調の一冊だ

 ▼終戦間もない1945年暮れも描かれる。〈なんだとォ オーケストラをやるだって?〉〈ケッ 食う物もないのに音楽なんぞ聞いてどうすんだよォ〉。後の群馬交響楽団につながるオーケストラ誕生への反応は冷めたものだった

 ▼ただ、音楽は市民の心をつかんだ。移動音楽教室や市民の浄財も活用した群馬音楽センター建設などを通して「音楽のある街・高崎」は着実に浸透した

 ▼12日の音楽イベント「ストリートライブin高崎 どこもかしこも」で広がりを実感した。16カ所で132組が音楽を奏でた。ロックにジャズ、歌謡曲に邦楽…。ジャンルも年齢も多様な出演者に多くの声援が送られた

 ▼JR高崎駅の「ステーションステージ」は県外アーティストも引き寄せる。市民有志は毎週日曜に屋外の音楽イベントを開く。楽器初心者を群響楽団員が指導するセミナーも高崎ならでは

 ▼冒頭の時間旅行は、太古から争いばかり続く歴史が描かれる。人類が争いをやめる日が来るのか、と主人公に問われた兄は答える。〈信じよう、あやまちをくり返さないだけの知恵を人間は持っているってことを〉。音楽が街づくりに寄与したように、知恵を生かせばきっと。