偶然が重なり、あれよあれよという間に起業することになった。2017年12月、前橋市創業センターの1階にカフェをオープンした。

 それまで何度か料理教室の開催でセンターを利用していた。その縁で、開業の誘いを受けたのだ。「開けられる時に開けますね!」と気楽に引き受けてしまったが、私には他にも仕事があって1人では営業できない。軽い気持ちで一緒に働いてくれないかと元同僚の友人たちを誘った。

 飲食店で働いたことはあるが経営は初めて。スタッフを雇うのも初めて。楽しいけれど分からないことだらけの体験は、初めて子どもを産んだ時に似ていた。

 支出に見合うほどの売り上げがなく、創業して間もなく経営は行き詰まった。スタッフを雇い続けるには売り上げを上げるしかない。そこでランチだけではなくテイクアウトを始め、ドレッシングなどの物販も開始。それが焼きまんじゅうマフィン誕生へとつながった。

 コロナで緊急事態宣言の状況下、焼きまんじゅうマフィンの製造場所と販売を兼ねた2店舗目をオープン、同時に法人を設立した。コロナ禍でのスタートで、会社を“産む”ことに懸念の声もあった。

 ただ、産んでみないと分からないことがたくさんあった。考えていたよりも経費の支出が多くて焦ったり、期待するほど売れなかったりと当初心配した通りのこともあったが、思いがけずうれしいこともあった。

 新店舗の奥の空間をイベントスペースにして、作家さんたちに出展をお願いした。月替わりで企画を考え運営することで、作家さんとお客さまをつなぐ素晴らしい場へと成長している。

 スタッフ個々の才能に気付いたことも、私にとっての成長だった。得意なことや優れている点はそれぞれ違う。子どもも自分とは全く違う考えを持つ別人格で得意なことや苦手なことがある。得意なこと、好きなことを伸ばしてあげたらいい。苦手なことに時間を費やすなら得意なことをさらに磨いた方がいい。それはスタッフに対しても同じだ。私も苦手なことはたくさんある。苦手なことを補いながら、得意なところを認めて輝かせることができる会社でありたい。

 利益を考えることはもちろん大事だが、誰かのために、地域のためにと取り組んできたことが、巡り巡って利益になっている。人とのつながりこそが利益を生むことだと確信している。

 子どもは預かりものという。社会から預かり、社会へお返しするのが親の役目だとするならば、会社は地域の皆に愛され、将来は私の手から離れていくように、一事業として地域に貢献できるよう育てられたらと考えている。

 子育ては親育て。会社も経験を重ねて成長していくのではないだろうか。

 【略歴】前橋市内で「創業カフェ ムーちゃん」「MOO CAFE」を経営。前橋街中テイクアウト連絡会代表。まえばしシティエフエムのラジオパーソナリティー。

2022/6/19掲載