「明けの山本」が門松代わりにする松を眺める貞雄さん(右)と日出男さん
頼朝から贈られたと伝わる湯本家の茶釜(写真上)、義仲の挙兵に応じた山本縫之丞が使ったとされる弓と矢筒(いずれも個人蔵。企画展で展示中)
頼朝から贈られたと伝わる湯本家の茶釜(写真上)、義仲の挙兵に応じた山本縫之丞が使ったとされる弓と矢筒(いずれも個人蔵。企画展で展示中)

 草津温泉は源頼朝が開いた―。群馬県の吾妻郡内にはNHK大河ドラマにも登場する頼朝の伝承や、木曽義仲に味方した武士ら落人にまつわる言い伝えが数多く残る。確かな証拠があるわけでなく「歴史」と捉えるのは難しいが、地名や風習などとして地域の文化に深く根付いてきた。源平合戦の時代から800年余り。集落や旧家に連綿と受け継がれてきた伝承の中には、人口減少とともに存続が危ぶまれているものもある。

 「先祖が落人だったと聞いた」。中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」で4月下旬に始まった企画展「木曽義仲落人伝説―旭将軍義仲と鎌倉殿頼朝が残したもの」には多くの反響が寄せられている。義仲や頼朝の伝承の当事者となる人たちが興味を持ち、来館しているのだ。

 伝承や言い伝えを公立博物館が取り上げるのは珍しい。ミュゼは吾妻地域に集中して頼朝や義仲に関する伝説が残っていることに注目した。山口通喜館長(66)は「風習や地名の由来などをつなぎ合わせていくと、現実離れしたような話が具体性を帯びてくる」と展示の意図を説明する。

■浅間山麓の狩り

 吾妻郡内に残る頼朝の伝承は、...