SNSを使う際の注意点を説明する藤本さん=5月27日、伊勢崎境北中

 ネットの恩恵を受ける人々に、その影の部分を教える活動が官民で展開されている。それでも犯罪に巻き込まれる被害も出続けている。どうネットリテラシーを高めて被害を減らすのか。模索が続く。

【シリーズ】「画面の向こう ネットは今」の一覧

 親密になったと感じた相手に裸の写真を送ったら、ネット上にばらまかれた。アルバイト感覚で誘いに乗ったら、特殊詐欺に加担していた―。県警調査官の藤本裕一さんは5月27日、伊勢崎境北中で1年生65人を前に、若者がSNSで巻き込まれやすい犯罪を列挙した。

 藤本さんは手元を離れた情報は消せず、進学、就職、結婚といった人生の分岐点で影を落とすと強調。「うそや悪口も誰が書いたか必ず分かります」とし、使う人の判断力が求められると説いた。スマートフォンを持っている須田ひまりさん(13)は「十分注意したい」と話した。

 群馬県警はこうした講話を年齢層に応じた内容で行う。小中高校ではネットの安全な利用法を説明。個人情報を書き込むリスクやフィルタリングなど話題は多岐にわたる。自ら買い物をする機会が増える大学や専門学校では詐欺やフィッシングサイトの手口にも触れる。事件の当事者と接する警察官らの言葉には重みがある。昨年は計600回以上開き、8万4千人が受講した。

 携帯電話事業者らも安全教室を開く。NTTドコモ(東京都)は2004年~22年3月に本県を含む全国で約9万6千回開き、子どもや保護者ら延べ1486万人が耳を傾けた。

 集団に向けた講義形式の啓発は、多くの人に犯罪の手口を広めるには効果的だ。一方、1人1人の自発的な防犯意識を養う取り組みも始まっている。

 学校生活を想定した物語の主人公目線で進めることで、日常生活で巻き込まれやすいトラブルを疑似体験できる無料の電子教材が5月に公開された。

 〈顔写真は投稿しない方がいいよ〉

 〈顔を加工すれば身バレしないね〉

 自ら考え、選択肢を選ぶことで物語の結末が変わる。疑似体験を通じ、楽しく便利なネットの危険な側面を学んでもらおうと県教委が開発した。教育の情報通信技術(ICT)化を進める県教委は、リテラシー教育も主眼の一つに掲げる。担当者は「子どもたちをネットから遠ざけるのではなく、うまく活用できるようになってほしい」と願っている。