新井耕吉郎について講演する手島さん(左)=19日、沼田市利根町の園原集会所

 群馬県沼田市利根町の住民や沼田高同窓会員らでつくる「新井耕吉郎顕彰会」が19日に発足した。「台湾紅茶の父」と称される、同町出身の農業技師で同国の紅茶産業の発展に貢献した新井耕吉郎(1904~46年)の偉業を後世に引き継ぎ、地域の活性化や台湾との交流につなげていく。

 台湾の実業家、許文龍氏から寄贈された新井の胸像が立つ薗原湖畔に近い園原集会所で発会式が開かれ、約30人が参加した。顕彰会長に就任した星野本三さん(沼田高同窓会長)は、新井は17年に旧制沼田中へ入学し、北海道帝大に進んだことを紹介。「多くのご縁で顕彰会が発足した。力を合わせ、新井先生の偉業を末永くいろいろな人に広めていきたい」と語った。

 顕彰会事務局を老神温泉観光協会に置いた。本年度の事業計画では、新井に関する調査研究や啓発、胸像がある園原運動公園の整備、展示コーナー設置、台湾との交流などを掲げた。

 新井の業績を調査する群馬地域学研究所代表理事の手島仁さんが講演。新井は日本統治下の26(大正15)年、台湾へ渡り、戦後も同国に残り台湾紅茶を開発したことを話した。「新井には(札幌農学校2期生の)内村鑑三、新渡戸稲造の精神が息づき、内村が言った『後世への最大遺物』が台湾紅茶だった」と語った。

 その上で「沼田が生んだ偉人の胸像は日本と台湾が良い歴史を共有し、21世紀を生きる姿勢を示す。この地域から未来が開けていく」と顕彰会の活動に期待した。

 この日は新井の命日で、発会式後、参加者が胸像前に移動し、ポピーを供えた。県台湾総会事務局長の頌彦守真(うたさともりみ)さんと、唱歌「浜辺の歌」「故郷」と台湾民謡「望春風」を歌った。