立民の水色(奥)と共産の赤いのぼり旗がはためくJR高崎駅東口=12日午後4時40分ごろ

 公示まであと10日に迫った12日の夕刻。群馬県高崎市のJR高崎駅東口で立憲民主党の泉健太代表が自ら通行人に名刺を配り、支持を呼びかけた。共産党の志位和夫委員長による演説がすぐ近くで始まったのは、およそ1時間後だった。

 日曜の繁華街に立民、共産両党ののぼり旗がはためく中、主要野党のトップが擦れ違うように登場したことは、本県で野党候補の一本化が以前のように成立しなかった現実を浮き彫りにした。

 群馬選挙区(改選数1)で、立民は連合群馬副事務局長で無所属新人の白井桂子氏(60)を推薦し、国民民主党県連と共に支援する。共産は新人の高橋保氏(64)を擁立した。過去には2016年、19年に旧民主党系政党と共産などによる「野党統一候補」が実現したが、今回は立民、共産両党が公認、推薦する候補者が9年ぶりに競合。政権批判票の分散は必至だ。

 本県を含む全国32の改選1人区を巡り、立民、共産など主要野党が候補を事実上一本化したのは3分の1程度にとどまる。

 これまでは党本部同士の協議も踏まえ、市民団体を介して候補者の一本化が実現してきた。ただ、白井氏を出した連合群馬側は「歴史的な経過から考えてもあり得ない」と今回の共産との連携を明確に否定する。

 市民団体から5月下旬に両陣営に送られた一本化への要望に、連合群馬側は「今回、統一候補の考えは持っていない」と回答した。立民県連幹部も「目先の得票を積み上げるよりも、旧民主党勢力がまとまっていくことが重要だ」と強調。国民の期待を取り戻し、政権交代可能な野党第1党として中長期的な視点で再生したいとの思いがある。

 一方の共産。市民団体の要望には「全面的に支持」と回答している。小菅啓司県委員長は「共闘に向けて筋を通してやってきた。われわれはいつでも胸襟を開いて話し合うつもり」と対話を待ち続けたが、白井陣営からの接触はなく、距離は縮まらなかった。

 共産側としても昨秋の衆院選以降、共産主義に対する攻撃的な論調が広がり、党への風当たりは強くなったと実感。街頭演説や配布するリーフレットで「平和路線」を前面に打ち出す。

 「もうここまできたら、それぞれが頑張るってことでしょ」。県委員会内部からはこんな声も漏れる。

 それでも、小菅氏は「今の日本を変えるには野党共闘しかない」として、今後も共闘の理想を掲げるつもりだ。その実現に向けて党の存在感を高めるため、高橋氏を旗印に比例代表での党の躍進を思い描く。