私が指導する新町SVCスポーツ少年団は1999年夏、ドイツ・ニュルンベルク市スポーツユーゲントと青少年国際交流事業を始めました。その後、NPO法人新町スポーツクラブが交流を継続し今年で23年目を迎えます。

 今夏、新型コロナ感染症の影響で2年延期されていた8回目の派遣事業を実施します。新町地域は81年に初めて西ドイツ(当時)スポーツユーゲントを受け入れてからドイツの青少年と交流を続けてきたことで、多くの青少年が現地でスポーツ・文化や家庭生活を体験しています。

 前回(4月29日付)も触れましたが、ドイツと日本の青少年スポーツの環境はさまざまな点で大きく異なります。その一つが大人の関わり方です。

 ドイツの小学生世代におけるサッカーの試合はノーコーチング、セルフジャッジ方式が多く、指導者は様子を笑顔で見守っています。練習の際、椅子に座って大声で指示を出して自分では動かない指導者はいません。まして、暴言暴力で子どもたちを威圧するような指導者もいません。

 保護者の関わり方も日本とは異なります。試合をしている全てのチームの子どもたちを見守り、励ましています。大人のこのような姿を見て、子どもは試合相手を尊敬し感謝する心を育みます。

 試合はリーグ戦で、トーナメント方式もなく、全国大会もありません。青少年スポーツに補欠という考え方がないため、一つの青少年スポーツ団体に複数のチームがあり、誰もが試合に出場する機会をつくっています。そして、小学生世代で一つの種目だけしている子どももいません。

 日本でも小学生向けの全国大会を廃止する意見が多く出てきました。小中学生レベルで世界一であっても、成人になると世界一になれない競技は多数あります。このことからも、小学生世代で全国大会がなくても競技力が下がることはないと言えるでしょう。むしろ、スポーツ障害を発症する子どもが減ることや、バーンアウト(燃え尽き症候群)で早期に競技から離脱する子どもが減ることによって、競技レベルが上がる可能性が高まると考えます。

 「学校部活動の休日地域移行」や「スポーツ少年団改革プラン2022」と、青少年期のスポーツ活動の環境は今、大きな変革期を迎えています。

 私たちスポーツ指導者はこの大変革期に、指導における暴言暴力を排除しなければなりません。大人の勝ちたい欲求を満たす青少年スポーツではなく、部活動の教育的価値にも共通する「青少年が自ら考えて行動し、仲間と一緒に自分たちが定めた目標に向かって全力で楽しむスポーツ活動」ができる環境のため、知恵を出す時期になったと考えます。若い世代に真のスポーツ文化を残しましょう。

 【略歴】旧国鉄職員として10年、群馬大職員として30年勤務した後、2000年に自身が中心となって総合型地域スポーツクラブを開設した。藤岡高(当時)卒。

2022/6/23掲載