参院選が公示された22日、群馬県内の経済関係者はウクライナ情勢や円安、物価高などで疲弊する地方経済の立て直しを、各政党や候補者に求めた。インバウンド(外国人観光客)の入国上限撤廃や消費喚起策に加え、世界的な半導体不足といったサプライチェーン(供給網)の混乱の回復を求める声が上がった。

 コロナ禍で激減した本県の観光客。国が主導する旅行割引の県民割で観光客が戻りつつある一方、インバウンドは1日2万人までの入国制限が設けられたままだ。

 四万温泉(中之条町)の柏屋旅館はコロナ前、全宿泊客数のうち13%をインバウンドが占めた。同旅館の柏原益夫社長(60)は「早く全面的に開国してほしい。円安はチャンスでもあるので一気に挽回したい」と要望する。

 中心市街地の空洞化や人口減により衰退する商店街は一層苦境に立たされる。みどり市大間々町大間々の本町通り沿いに本店を構える足利屋洋品店は婦人服を中心に扱い、コロナ禍で外出用の買い替え需要が低迷した。売り上げはコロナ前の水準に戻っていない。

 松崎靖社長(70)は購買意欲を高める施策として、「消費税の減税はレジの設定や値札の変更に手間と費用がかかり、事業者の負担が大きい。(貯蓄に回る可能性がある現金給付でなく)クーポンのような形がありがたい」と訴えた。

 客足が戻らないのはタクシー業界も同様だ。清水タクシー(前橋市)の清水憲明会長=県タクシー協会長=によると、コロナ禍で客足が激減した。しかし、飲食店のような行政の支援制度はなく、業界全体の疲弊が激しいと強調する。

 原油高も直撃する。燃料であるLPガスの高騰を受け、燃料価格激変緩和対策も始まったが、清水さんは「十分とは言えない。政治には、物価の安定と経済活性化を最優先でお願いしたい」と主張する。

 原材料価格が上昇し製造業の現場は厳しい。太田市で自動車部品や住宅関連資材の製造を手がける東亜工業の加藤正己会長(69)=太田商工会議所会頭=はロシアによるウクライナ侵攻で、流通が途切れ、部品の供給がままならない状況を危惧する。「国際社会で『自国ファースト』の流れが強まれば、世界中の経済に悪影響が及ぶ。国際協調を目指して外交努力を重ねるのが政治家の役割だ」

 東京商工リサーチ前橋支店が4月に行ったアンケートで県内企業の価格転嫁の割合は、「転嫁できていない(0割)」が62.1%に上った。県商工会議所連合会の曽我孝之会長(81)は仕入れ価格の上昇を、経営努力では吸収しきれない段階にあると指摘。「今は戦後に匹敵する混乱期だ。サプライチェーン全体の中で価格の上昇を吸収するような政策誘導をしてほしい」と訴える。