▼20年以上も前の話だが、地方在住学生は就職活動で不利なことが多かった。企業説明会は大都市に集中し、時期も早い。何かというとお金と時間をかけて上京して「やっぱり都会が便利」とぼやいたものだ。通信が発達し、面接さえオンラインでできる時代になった

 ▼デジタル技術を活用し、なお残る地方の「格差」解消を目指すのが政府の進めるデジタル田園都市国家構想だ。前橋市は「まえばし暮らしテック推進事業」を含む3事業が助成対象に選ばれた

 ▼市によると、個人認証「まえばしID」(仮称)に基づき、新たに作るシステムで個別最適化したサービスを提供するという。何やら難しそうだが、要は散り散りに管理されている本人の情報が共有され、不便を解消してくれる仕組みだ

 ▼子どものアレルギー情報を関係機関が持ち合わせて事故を防いだり、最寄りの公民館から画面越しに行政や医療の相談ができたりする新サービスが10月から順次始まる。「誰一人取り残されない」を掲げ、デジタル機器に疎い高齢者にも配慮するという

 ▼当面は県と連携して採択された交通環境整備を含め、子育て、介護、空き家活用などを想定するが、アイデア次第で展開の幅が広がりそうだ

 ▼市は、まえばしIDを含めた仕組みそのものを全国に普及させ、活用してもらうと息巻く。前橋発のモデルによって、「地方でも十分便利」が当たり前になるといい。