コロナ禍により宿泊業は厳しく、つらい状況が続いています。宿泊施設に限ったことではありませんが、コロナ禍による大きな問題の一つは売り上げの減少です。

 国の観光支援策「GoToトラベル」や県の「愛郷ぐんまプロジェクト」の停止、何度も繰り返す緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などに対応しながら、関係者は「もう少し頑張れば」「もう少し我慢すれば」とモチベーションを落とさぬよう頑張ってきましたが、心身ともに疲れている人も多いと思います。スタッフに感染者や濃厚接触者が出た場合の対応、お客さまのキャンセル料をどうすべきかなど、コロナに伴って起こる可能性があるものをシミュレーションし、準備しておかなければならないことも大きな負担です。キャンセル料はトラブルになることも考えられるので慎重に判断しなければなりません。

 ただ小さな光も差してきました。ワクチン接種が進むにつれ、外食や旅行に関わる制限緩和の動きが見られるようになり、愛郷ぐんまは15日に第3弾が始まりました。その先のGoTo再開という希望も少しずつ見えてきました。

 先日の上毛新聞に、みなかみ町のコロナ収束後の観光誘客に関する記事が載りました。企業と大学、行政、金融機関が連携して廃屋の撤去や観光拠点の整備を進め、温泉街の魅力創出や活性化につなげるそうです。土地や建物を取得してもなかなか新しい事業が進まないこともある中で、このような発表は期待が膨らみます。具体的な内容はまだ分かりませんが、新しい施設が観光の発信拠点になってくれるといいと考えます。

 たとえば旅館は、宿泊料以外で売り上げを得るために人気料理や料理に使うたれなどを商品化し、館内の売店やインターネットで販売することがあります。地域の観光拠点が、旅館だけではなく飲食店のオリジナル商品を集めて販売してくれれば、その旅館や飲食店に行かなくても人気の逸品を食べることができます。気に入れば「次はこの旅館に泊まりたい」「この店でお昼を食べたい」となり、再訪につながります。

 大手企業の協力が得られたことで、県内外への発信力も強化されるでしょう。水上温泉リノベーションまちづくり事業で頑張っている人たちや水紀行館(道の駅)、たくみの里などの施設とも協力し、さらに魅力ある観光地になることを期待します。そしてモデルケースとなって県観光業全体の発展につながってほしいと願っています。

 1年間執筆した「視点」は最終回となりました。独立したばかりの私を信用し、支えてくれた皆さんに恩返しできるよう、観光業発展のために力を尽くします。私たち「For Smile.」がお役に立てることがありましたらお声掛けください。



For smile.代表 木榑信之 沼田市下沼田町

 【略歴】1989年水上館入社。IT販売本部長を経て、松乃井リゾートで企画室長を務める。2019年6月、独立して「For smile.」を立ち上げる。

2021/10/20掲載