7月10日投開票の参院選で、群馬県内35市町村の投票所の89.1%に当たる790カ所が、公職選挙法で定められた投票終了時間を1時間以上繰り上げることが24日、県選挙管理委員会のまとめで分かった。12市では、館林を除いた11市がいずれも繰り上げを予定する。期日前投票の定着や、夜間の投票実績の少なさなどが理由とされるが、専門家は「投票機会の制限につながりかねない」と指摘する。

 公選法は投票時間を午前7時~午後8時と定め、特別な事情がある場合のみ市町村選管の判断で繰り上げを認める。県選管によると、県内887投票所のうち午後6時までに終了するのは244カ所(27.5%)、午後7時の終了は546カ所(61.6%)となる見込みで、午後8時までとするのは97カ所(10.9%)にとどまる。終了時間を繰り上げる割合は、2019年の前回参院選(88.2%)をわずかに上回った。

 高崎市は全108カ所、太田市は全69カ所が、いずれも1時間繰り上げとなる午後7時まで。前橋市では全99カ所のうち、97カ所が午後7時まで、残り2カ所が同6時に閉まる。12市のうち、渋川、富岡、安中は全投票所が午後6時で終了する見込みだ。

 多野郡や甘楽郡、吾妻郡、利根郡など西北毛地域の町村部では、午後5時または6時までとする投票所の割合が市部と比べて高い傾向がうかがえる。

 終了時間を繰り上げる背景には、①期日前投票の定着②山間部は夜間に投票する人が少ない③開票作業を早く始めることによる事務負担の軽減―などがあるとみられる。県選管は「各自治体の判断もあるが、改善が必要だと考えている。解消に向けた努力を続けていきたい」とした。

 一方、邑楽館林地域は足並みをそろえ、館林市の全28カ所、邑楽郡5町(板倉、明和、千代田、大泉、邑楽)の全33カ所については繰り上げは行われない。館林市選管の担当者は「事務負担を考えたら早めに切り上げることも検討したが、投票率の改善になればと考えている」と話す。

 投票所の約9割で繰り上げが予定されている現状について、高崎経済大の増田正教授(政治学)は「県内では申し合わせたかのように多くの自治体が安易に繰り上げを実施しており、特に人口20万人以上の自治体で繰り上げることは由々しき事態」と指摘する。少なくとも市部では午後8時にすべきだとし、「県民全体で『投票時間の権利』を損失しているという現状を考え、全ての有権者が取りこぼされないようにすべきだ」と話している。