東京パラリンピックが閉幕し、1カ月が過ぎました。SUBARU陸上部がサポートさせていただいた陸上代表の唐沢剣也選手(県社会福祉事業団)は男子5000メートル(視覚障害T11)で銀メダルを獲得し、県民に明るいニュースを届けてくれました。

 五輪・パラリンピック開幕前は賛否の声があり、とても重苦しい雰囲気で始まった大会でした。しかし、大会が進むにつれて温かい声援も増え、海外選手からは感謝の言葉も多く聞かれました。参加した選手たちは努力してきた成果を大舞台で表現でき、さぞうれしかったことでしょう。この厳しい状況の中で準備し、運営してくださった関係者の皆さまには本当に頭が下がる思いです。アスリートは3年後のパリ大会を目指して自己研さんに励むことになります。今回の東京大会を経験した選手や関係者の今後の活躍に期待しましょう。

 コロナ禍となってから、私はスポーツの価値や在り方について日々、自問自答しています。私だけではなく、多くのスポーツ関係者が真剣に考えているはずです。前橋市で長期合宿に励んだ南スーダンの選手たちがスポーツを通じて自国を豊かにしたいと考えていたように、われわれにもできることがもっとあるのではないかと思うのです。

 制約がある現在だからこそ、スポーツに携わる者がスポーツの本当の価値を改めて考え、見せ方や伝え方をバージョンアップしていかなくてはならないと考えます。それができれば、たとえ無観客開催であっても、皆さんに楽しんでもらえるはずです。スポーツは決して自己満足のものではなく、たくさんの人々を元気にするチカラがあり、アスリートは応援されることでさらに頑張れるのですから。今回のコロナ下でのオリパラという経験が変化のきっかけとなり、日本のスポーツのチカラをさらに高めていければ良いと思います。

 私の「視点」は今回が最後となります。1年前、執筆を担当し始めた直後のニューイヤー駅伝予選でわがチームは途中棄権し、失意のどん底を経験しました。しかし苦しい期間を乗り越え、若い選手たちが成長し、結果を残し始めています。われわれの存在価値を本気で考えるきっかけとなったあの敗戦が、本年度のチームの成長につながっていると確信しています。

 間近に迫った東日本予選で必ずリベンジを果たします。そして2022年元日の上州路で、失意から立ち上がったSUBARUの選手たちが躍動する姿をお見せし、いま苦しい思いをしている方々に、苦しくても前を向けばきっとまた進めるのだということを伝えられたらいいなと思います。

 皆さん、応援をお願いします。



SUBARU陸上競技部監督 奥谷亘 太田市新島町

 【略歴】西脇工業高―ダイエー―積水化学工業。2000年に富士重工業(現SUBARU)移籍。11年から監督。05年世界陸上男子マラソン14位。兵庫県出身。

2021/10/12掲載