あっという間に1年が過ぎ、私の「視点」は最終回となりました。障害者の親の気持ちや、歩んできた道を紹介してきました。つらい気持ちで読まれた方もいらっしゃるかと思いますが、真実を伝えようとつづりました。

 手をつなぐ育成会の会長職を担いながら、続けてきた仕事があります。障害者の移動支援です。子どもが施設に入所し、空いた時間で社会に貢献したいと考えた時、真っ先に浮かんだのは福祉の仕事でした。ヘルパーの資格取得を目指して勉強する中で移動支援事業を知りました。資格を取った後、すぐに携わり、今年で17年になります。

 この事業は、一人で外出するのが難しい障害者(児)が、社会生活を送る上で必要不可欠な外出や余暇活動、社会参加をするため、ヘルパーを派遣して移動と外出先での介護を担うものです。買い物や映画観賞、カラオケ、温泉など希望はさまざまで、障害者の様子も一人一人違います。関わりの中で信頼関係を築くことが何より大切だと実感しました。

 障害者の皆さんはとてもピュアな心を持っています。そして人を見抜く力は鋭いものがあります。うそは言わず、約束したことは忘れません。ですから支援する側も同じ気持ちを保つようにします。いろいろな方々を支援させてもらい、障害者の方に癒やされてきました。

 障害があっても当然、自分のやりたいことがあります。ヘルパーの支援を受けながら当たり前に社会に出ていき、その人なりの楽しみ方で充実した時間を過ごします。一緒にいると、周りの人の目が優しくなるのを感じました。手を貸してもらう場面もたくさんありました。本人の笑顔、手を差し出してくれる人たちとの出会い。これは、この仕事に携わってきたからこそ知ることができた財産だと感謝しています。

 障害者をサポートしている時、周囲の人は私がヘルパーだとは思っていない様子です。障害者を介助する母親に見えているようなのです。実の親子のように自然に見えていることを、私自身はうれしく思っています。

 コロナ下の今は思うように外出できず、皆、我慢しています。早く収束して、障害者が以前のように楽しい時間を過ごすための支援を再開したいものです。そして、障害者がその人らしく社会に出ていくことの大切さを伝えていきたいと考えます。障害があってもなくても、隔たりのない社会になることを願ってやみません。そのような社会を目指して、諦めずに少しずつ進んでいきたいと思います。

 勇気を持って社会参加している障害者を、どうか、これからも温かく見守ってください。



県手をつなぐ育成会会長 江村恵子 高崎市新町

 【略歴】群馬銀行や藤岡保健福祉事務所内の障害者相談支援センター勤務を経て2017年から現職。全国手をつなぐ育成会理事。渋川市出身。明和高卒。

2021/10/01掲載