シクロクロス(CYCLOCROSS)をご存じでしょうか? 自転車で主にオフロードを走り、時には自転車を担いで階段を駆け上がり、シケインと呼ばれる障害物をジャンプするなど、アトラクション要素の多い競技として欧州で爆発的な人気があります。自転車とウオーキングによるクロスカントリーレースとして戦後のフランスで初開催され、1950年代に世界選手権が開催されたことで、よりスポーツ性の高い競技へと進化しました。

 私はこれまで自転車選手として走ることを専業としてきましたが、20代前半に出会った友人から競争と探訪が交ざり合ったサイクルスタイルを提案され、自転車を持って旅をすることに引かれていきました。さまざまなバックグラウンドを持つサイクリストとの出会いから、自分の街も紹介したいという思いが生まれ、2016年に「前橋シクロクロス」を本格始動させました。国内には他にも、20のシクロクロス運営団体があります。

 シクロクロスは山間部での開催が一般的ですが、前橋は都市型シクロクロスと呼ばれ、県庁からほど近い「岩神緑地オフロードコース」を会場としています。街との密接な関係を築きながら大会を開催することで、マイナー競技でも地域に根付いていけるといいと考えています。お祭りのような雰囲気が特徴の大会では音楽が流れたり、飲食や物販などのブースが立ち並んだりして、観客としても十分楽しめます。誘致が競技人口増加につながり、競技力、地域経済にも影響を与えられるかどうかは主催者の手腕が問われます。

 小学生を対象としたキッズレースは毎回好評で、若年層のライダーが自転車競技を体験する始めの一歩として、今では欠かせない部門となっています。キッズ部門はどんな自転車でも参加できます。学校のルールや公道での危険性から、自転車に乗って遊ぶということに窮屈さを感じている子どもは多いのではないでしょうか。前橋シクロクロスは大人から子どもまで、さらには家族でも楽しめる大会を目指しています。

 しかし、そんなシクロクロスも数ある自転車ジャンルの一つにすぎません。生涯スポーツとして自転車と長く付き合っていこうと思っても、やはりマンネリ化は避けられないものです。ましてや体力の衰えも自転車離れを加速させる要因となります。長く継続していく工夫として、これまで経験してこなかったジャンルにも飛び込んでみてはいかがでしょうか。

 サイクルスポーツの普及には歩行者、自動車との共存が当たり前の社会、文化の醸成が必要だと考えます。そのためにサイクルスポーツをアピールし続けることが、私たちサイクリストの使命だと感じています。



群馬グリフィンレーシングチーム監督 渡辺将大(沼田市桜町)

 【略歴】前橋育英高で自転車ロードのナショナルチーム入り。中央大で学生ロードランキング1位。大学を中退して豪州留学。帰国後、サイクルショップタキザワ入社。

2021/9/27掲載