前回(5月4日付)、コロナ禍で観葉植物の消費が伸びていることを紹介しました。これは世界的なブームで、国によっては観葉植物バブルが到来していたようです。

 よく売れていたアイテムがもう一つあります。花瓶です。

 総務省の家計消費状況調査によると、花瓶や園芸関連ツールを指す「園芸用品」が園芸植物以上に伸びているのです。園芸用品の1世帯当たりの支出金額を2019年と比べると、20年は113.7%、21年も111.5%でした。コロナ前は減少傾向でしたから、コロナを機に住環境を整えようという意識の表れと分析しています。

 容器として求めたばかりでなく、デザイン性の高いものをインテリアとして購入した人も多いようです。花がないときは花瓶だけ飾ってもおしゃれに見えるタイプのものです。

 こうした消費の動きを受け、大田市場でもここ1、2年のうちに販売用の花瓶がとても充実しました。都内に新装開店したある生花店は、花瓶専門フロアを設けています。約千種を取りそろえ、大変好評だそうです。

 これまであまり注目されることのなかった花瓶ですが、空前の人気を通して、誰にとっても使いやすい形が見えてきました。それは、口が少しすぼまった形状です。花材が少なくても生けやすいからでしょう。ただ、すぼまり過ぎていると洗いにくくなり、内部に雑菌が繁殖しやすくなりますが、台所漂白剤を使えば解決します。

 とはいえ、やはり好きな形を選ぶのが一番です。ストレート型はどのようなシーンにも使えて便利です。ピッチャー型はインテリア性が高く、無造作に生けてもおしゃれな雰囲気を演出できます。底が広くて背の低いものは多少の揺れにも耐えられるので、安心して花を飾ることができます。

 花瓶の口が広く、生けたい所に花材が止まらない場合は、口にセロハンテープを井の字に貼って花材を挿すといいでしょう。花瓶の大きさに合わせ「十」や「一」の字などにも貼ってみてください。

 海外では握力が弱い人の目線でデザインされた花瓶もあります。持ち運びしやすいように真ん中がくびれています。現地語で「思いやり」を意味する商品名がついて、日本でも販売されています。

 世界では都市化とデジタル化が急速に進行しています。1950年に30%に過ぎなかった都市部人口は、現在は55%ほど、2050年には68%に達すると試算されています。一方で、700万年の歴史のうちほとんどを森の中で過ごしてきた人類は、都市化が進むにつれ、自然を求める気持ちがますます強くなっていくように感じます。将来は、好みや使い方に合わせて花瓶を3Dプリンターで作って購入する、といった方法が広がるかもしれませんね。

 【略歴】大田花き商品開発室を経て、2016年から現職。NHKラジオで花の市場だよりをリポートしている。日本フローラルマーケティング協会理事。藤岡市出身。

2022/6/26掲載