大川小の写真を交えながら当時を振り返った佐藤さん(左)と空羽さん=26日、前橋市の群馬会館

 東日本大震災の発生から11年となる中、前橋市の絵本作家、空羽(くう)ファティマさん(60)と、児童74人が津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小(当時)の遺族の1人で、各地で語り部活動をしている佐藤敏郎さん(58)の対談が26日、前橋市の群馬会館で行われた。参加した約100人が災害の教訓や命の大切さについて考えた。

 空羽さんは東日本大震災を題材とした絵本などを執筆。佐藤さんは同校に通っていた次女のみずほさん=当時(12)=を津波で亡くした。空羽さんが7年前に取材で現地を訪れた際に佐藤さんと知り合い、親交を深めてきた。

 対談で佐藤さんは、同校では地震発生から約50分間、近くに裏山があったにもかかわらず、避難せずに校庭に待機していたことを指摘。「救えた命だった。子どもたちの命は判断と行動によって守るものだ」と訴え、「地元では若い世代が災害を語り継ごうという動きも広がる。このことを未来につなげていってほしい」と語った。

 空羽さんは「学校だけではなく、どのように子どもたちの命を守れるか、社会全体で考えることが大切。『あの日』を思い出にしてはいけない」と語った。

 同校を題材にした空羽さんの物語「ただいまの声が聞こえない―大川小 てっちゃんと74人の天使たちのメッセージ―」の朗読も行われた。絵本作りと朗読に取り組む「キャメルン・グループ」(前橋市)が主催した。