最近、前の職場で一緒に働いていた仲間との交流が増えました。コロナ下で直接会うことは少なく、会員制交流サイト(SNS)や電話でのやりとりですが、他の地域の宿泊施設との情報交換は非常に役に立ちます。

 皆、私と同じように転職した人たちです。一部上場企業の宿泊施設で営業マネージャーをしている人、海外でも人気の温泉旅館で支配人になりテレビや旅行雑誌に度々出ている人、老舗旅館の宿泊マネージャーになり着実に売り上げを増やしている人、地域の人気宿の調理長になり高い口コミ評価を受けている人。コロナ下の厳しい状況ですが、それぞれが生き生きとやりがいのある仕事をしているようです。昔の仲間の活躍はうれしく、励みにもなります。

 ただ、旅館に勤める人たちは、私も含め、20年後にはほとんどリタイアする年代です。旅館業界の人手不足は深刻な問題で、外国人スタッフに働いてもらっている旅館も多くあります。地方の旅館業発展のためには、日本人スタッフだけではなく、努力して力を付けた外国人スタッフも幹部として長く働ける職場環境づくりが必要になってくると考えます。

 ある旅館の外国人スタッフは、勤務して1年未満ですが4カ国語を話せ、細かいフロント業務もこなし、お出迎え、お見送りなど笑顔での接客がすっかり身に付いています。本人の努力と環境が整えば将来、支配人や幹部社員として十分やっていける人材です。また、別の旅館の外国人スタッフは一生懸命な接客態度がお客さまの高い評価を受け、予約サイトの口コミでお褒めの言葉をいただいたと聞きます。

 優秀な外国人スタッフを集めるには働きやすい職場と住みやすい地域をつくることが大切です。それには地域の方々の協力が欠かせません。旅館や観光協会はこれまで以上に地域の他業種の会社やお店、学校、商工会、住民とコミュニケーションを図り、親交を深め、協力し、助け合える関係を築くことが重要でしょう。そうすることで、旅館で働く外国人スタッフも地域になじみ、安心して生活できるようになるのだと思います。

 外国人スタッフが結婚しても安心して暮らし、子育てもできるような観光地、母国に自分が働く旅館や自分の住む地域の素晴らしさ、美しさをSNSなどで発信したくなるような観光地になれば、海外からのお客さまも増えるでしょう。地域がにぎわい、さらに発展していくのではないでしょうか。

 地域の皆さんの信頼と協力なくして、国が取り組む地域力の創造、地方再生・復興はあり得ません。そこに暮らす皆さんと歩めるかどうか。観光地が将来にわたって続いていく鍵は、ここにありそうです。



For smile.代表 木榑信之 沼田市下沼田町

 【略歴】1989年水上館入社。IT販売本部長を経て、松乃井リゾートで企画室長を務める。2019年6月、独立して「For smile.」を立ち上げる。

2021/08/26掲載